半世紀ぶりのヒコーキカメラマン

自分が一眼レフを親に買ってもらってヒコーキ写真を本格的に始めたのは中学3年生の頃、当時、中高一貫の私立学校に通っていてその学校特有の時間割で水曜日の授業は午前だけ。お蔭で午後は時間があってよく羽田空港へ通っていた。高校生になると夢はパイロットになることととなり、ヒコーキ熱は益々盛んになった。

カメラはニコマートFTN、レンズはニッコール50mmと135mm、それにテレコンを付けて約200mm。しかもマニュアルピントで旅客機を必死に追っていた。今考えると隔世の感だがこれが当時は当たり前でアマもプロもマニュアルで離着陸する旅客機を撮っていた。

当時は今ほどヒコーキを好んで撮る人は多くは無かった。ヒコーキ専門のプロも数えるほど。旅客機もジャンボジェットが飛び始めたばかりで、ロッキードL1011トライスターやDC10も就航したてだった。DC8もまだ主力機で国産のプロペラ機YS-11も現役で飛んでいて顔ぶれは多士済々だった。

まだ、成田空港が無い時代で羽田が唯一の国際空港、アリタリアやルフトハンザ、BOAC英国航空、パンナムなどなど懐かしい航空会社で賑やかだった。その後、パイロットの夢破れ、徐々にヒコーキ熱も冷めてさらに写真を仕事にした為、プライベートでヒコーキを撮る機会など全く無かった。

フリーランスの仕事もそろそろエンディングを意識し始める年齢になり、プライベートに割ける時間も以前よりは増えつつある。これまで忘れていた「プライベートで好きなモノを撮る」という思いがふつふつと湧いてきた。考えてみれが機材自体は充実している。半世紀前に比べれば夢のような機材が目の前にある。これで撮らない手はない。そう思い立って早速羽田空港へ向かった。

改めて最新のカメラとレンズは凄い!日常はほとんど広角系でマニュアルピントで仕事写真を撮っている為、AFでの超望遠レンズのお作法に慣れるまでは時間がかかりそうだが極端に言えば誰でも簡単にプロ並みの写真が撮れる、と言ったら語弊があるが現代のAF性能や手振れ補正、高感度画質などもう感動しかない。改めてありがたい時代に生きていると思う。

写真は羽田空港第二ターミナルから、旅客機自体も好きだが今の羽田空港は東京スカイツリーや東京ゲートブリッジなどを遠景に臨み、近未来的な光景は半世紀前とは雲泥の差、それを上手く組み込んだ構図や超望遠を生かしてコクピットのパイロットの表情や会話などが伝わるシーンが今風だ。超望遠ズームも最新の超速AFも初心者並みのテク、何が正しいのかは分からないがとにかく楽しい!これに尽きる。

EOS R6 / RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM