自由学園明日館

先週末、池袋のオフィスビル撮影の待機中に時間があったので約一年ぶりに明日館を訪れた。晩秋の美しい光が館内に射しこみ、とても穏やかな時間が流れていた。落ち着きたい気分の時にはうってつけの空間でいつまでも残っていて欲しい場所だ。

明日館は1921年に羽仁もと子、吉一夫妻により自由学園の校舎として建設された。設計はフランク・ロイド・ライト。当時の生徒さんたちのスケール感?なのかすべてがコンパクトで椅子やテーブルやライト・窓枠など細かい部分にも拘りのデザインが施されていてそれらが綺麗に保たれている。

20年ほど前、ここのホールや食堂などで婦人之友社の記念イベントがあってその記録カメラマンとして初めて訪れてお気に入りの場所になり、機会ある度に訪れている。大正時代の貴重な「遺産」として今も保存・管理され、様々なイベントにも使用されている。

拘りのザインが凝縮されたクラシックな空間にはハッセルブラッドが良く似合う。暗めの空間ではX2Dの手振れ補正は非常に心強く、ディティールにカメラを向けるには907Xのウェストレベルスタイルが目立たない。この空間の時間の流れにはスローなカメラが心地良い。

HASSELBRAD X2D 100C / XCD 3.2-4.5/20-35E

HASSELBRAD X2D 100C / XCD 3.2-4.5/20-35E

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 2.5/55V

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 2.5/55V

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 2.5/55V

HASSELBRAD X2D 100C / XCD 3.2-4.5/20-35E

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 2.5/55V

HASSELBLAD XCD 2.5/38V

雲の形はひとときとして同じ形が無い。色や形から季節の移り変わりが感じ取れる。自宅ベランダからのありがたい眺望。自然の天才デザイナーぶりが毎日愉しみ。身の廻りにはドラマチックなシーンが溢れている。

XCD 2.5/38V。Vシリーズの中では最軽量で最もコンパクト。ハッセルに詳しい人なら38mmと言えばSWCだが実際は30mmの画角なのでかなり違う。気分はSWCで写りは普通の広角レンズ。ただ、その普通さの奥が深い玄人好みのレンズだ。

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 2.5/38V

KADOKAWA CULTURE MUSEUM

仕事では何度か行ったことのある隈研吾氏設計の角川武蔵野ミュージアムへプライベートで初めて行った。2020年開館なので今更だがやはり凄い施設だ。建築も内装も今だに圧倒される。コンテンツもユニークで量も質も素晴らしい!

開館当初からの売りである書籍、アニメのフロアの充実ぶりには驚かされた。特に本棚劇場の空間は圧倒的だ。来年1月まで開催されている企画展のモネのイマーシブジャーニーは今流行りの没入型体感アート空間で思いもよらない素晴らしさにもう一度行きたいと思わせてくれた。

撮影については動画とフラッシュ以外は撮影可で三脚・一脚その他は当然NGだが通常の手持ちでのスチール撮影は一部を除いてほぼ全エリア自由だ。施設の性格上、なかなか太っ腹だと思うがこういう施設は最近増えている印象で良いことだと思う。よほど特殊な理由以外で撮影不可にして隠しても何のメリットもない時代だから。

HASSELBRAD X2D 100C / XCD 2.5/90V

HASSELBRAD X2D 100C / XCD 2.5/90V

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 3.2-4.5/20-35E

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 3.2-4.5/20-35E

百年後芸術祭

先日、千葉県の内房総を中心に開催された百年後芸術祭の大貫仁美氏の作品を拝見する為に千葉の袖ケ浦までブチドライブしてきた。氏の作品が展示されているのは袖ケ浦公園内の市指定文化財の旧進藤家住宅。前回の中之条ビエンナーレでも旧五反田学校で展示されていた。氏の作品は長い歴史が刻まれた空間内でガラス素材と金継技術とが相まってとても魅力的でフォトジェニックだ。

今回は会場正面のメイン作品には展示台下部に内照式のライティングがされていたがもう少し暗ければより映えただろうと少々残念に思う。実はこのライティングは前回の中之条ビエンナーレの作品を拝見した後に無責任にも内部照明があればより魅力が増すのでは?と安易に助言させて頂き、それを採用?して頂いた経緯もあってこれは見届けなければ!と慌てて最終日に駆け込んだ次第。

今回撮影に使ったXCD 2.5/25Vは先日突然リリースされた広角レンズ。Vシリーズの新しい広角レンズで35mm換算約20mm。XCDレンズの広角レンズには初期のXCD 4/21(換算17mm)とXCD 3.5/30(換算24mm)そして昨年発売のXCD 4/28P(換算22.5mm)があるが今回は換算20mm。これだけ近い焦点距離でどれほど違うのか?と思われがちだが広角域での1mmの差は大きくかつ明るさもF2.5、最短撮影距離も短く当然写りも違ってくる。

ただし、このレンズも昨今流行りの専用ソフトでの補正前提の広角レンズで光学性能だけを問えば初期のレンズに比べて必ずしも優秀なレンズとは言えない。だが時代の流れには逆らえない。軽量・コンパクトとの引き換えでは仕方がない。何より907X系にはVシリーズのレンズが良く似合う。鏡胴は少々長めだがVシリーズ共通の鏡胴のスリムさもあって使い勝手は非常に良い。

HASSELBLAD 907X 50C / XCD 2.5/25V