村田諒太の夜

昨夜のWBA世界ミドル級タイトルマッチは意外な結果で驚くと共に久しぶりに感動してしまった。昨年、ラスベガスで一方的な判定負けでタイトルを失った村田諒太、その時のボクシングはとてもプロのチャンピオンとは思えないお粗末な内容で彼はもうこのまま引退と思っていた。それが9ヶ月ぶりの再戦で見事なTKO勝ちでタイトルを奪還した。

一般的にはボクサーは持って生まれたスタイルがある。練習で磨きをかける事は出来るがスタイルそのものはなかなか変えられないものだ。例えば井上尚哉などは持って生まれた優れた資質と厳しいトレーニングであのような世界的なレベルのボクサーになった。攻守のスピードとバランス+ハードパンチャースタイルは彼独自のスタイルで他のボクサーには真似できない。これは教えられて身に付くものではない。

村田諒太はロンドンオリンピックのゴールメダリストだがスタイルはアマチュアらしいディフェンスをベースにしたテクニックと右の強打のボクサーだ。プロになってもそのスタイルは大きくは変わらずあまりプロっぽくなく好戦的なボクサーではなかった。性格も真面目で優しい、それが仇になる試合もあった。

ラスベガスではそれが出てしまって相手のロブ・ブラントの異常な手数に押されっぱなしで何も出来ないまま敗れた。それが昨夜はどうだ!1ラウンドから相手のパンチを恐れず強打を繰り出した。2ラウンドも続けてパンチを打ちまくった。技術的な事はさておき、まさしくプロのボクサーはこうでなくてはならない。

村田の必ず勝つという気持ちが全面に出た素晴らしいボクシングだった。彼の気持ちが伝わってきて感動した。世界タイトルマッチという大舞台でここまでスタイルを変えられたボクサーはあまり見た事がない。このスタイルを続けられるのならばチャンピオンとしてまだまだやれると思う。

LEICA M9-P / Thambar 90mm f2.2

LEICA M9-P / Thambar 90mm f2.2

M8について

M8がいまだに一部のファンの間で人気があるようだ。M9-Pが人気なのは理解できるがM8については正直理解に苦しむ。ある高名な写真家の方がM8を高く評価されて愛用されていることが多大に影響していると思われる。モノクロ作品が中心の方なのでM8のモノクロ画質を評価することは理解できるがシャッターフィーリングに至ってはM型デジタルの中でも一番良いと評価されている。個人的嗜好が多分に影響するので何とも言えないがこの点は自分とは意見が分かれる。

レンジファインダーデジタルカメラはEPSON RD-1が先鞭を付けてその後、ライカが満を持してM8を発表した。自分は発売日にブラックとシルバーの2台のM8を手にした。当時はライカを仕事で使用するケースも少なくなかったのでやはり2台所有がマストだった。さて、自分のM8の評価だが結論から言えば言葉は悪いが欠陥カメラだったと言わざるを得ない。

これは有名な話だがM8は赤外線カットフィルタの設計に失敗し、UV/IRフィルタを使用しなければ一部の色が正しく再現されないという致命的な欠陥を持って生まれた。メインスイッチ周りや背面のロータリースイッチなどにも電気的なトラブルが頻繁にあった。自分も実際に何度も経験した。ライカとしては初のレンジファインダーデジタルカメラゆえにまだ設計・生産技術が未熟な印象は否めなかった。

発売当初、この問題に対してライカはUV/IRフィルタをボディ1台につき2枚まで無償で提供されるサービスを行った。これにはにはさすがに呆れたと同時に問題を認めたライカに驚いた。さらにこのフィルタのデリバリに半年以上かかったこともライカらしかった。今となっては懐かしい思い出だがユーザーはみな真面目にUV/IRフィルタを待って新たに設けられた6bitコードに苦慮しながら撮影をしていた。

シャッターフィーリングもお世辞にも良いとは言えなかった。それまでのM型ライカのシャッターフィーリングに慣れていたファンには耐え難い音色でその写真家の方が高く評価することがちょっと理解できない。M9以降のM型デジタルと比べても決して良い音色とは思えないし、個人的にはやはりM10-Pの音色がM型ライカ伝統のシャッター音と感じる。

それでもライカ初のM型デジタルカメラとして熱烈に愛用したことも事実だ。もうかれこれ13年前のことになる。今でもM8の中古が結構な値段で取引されている事実は驚きだが、これはあくまでM9、M、M10と進化・成熟した現在のラインナップの中での評価であり、キワモノ的な評価だ。発売当時に手にし、ある意味高額のお布施?を納めたかつてのM8ユーザーたちは現在の一部のマニアが絶賛する評価を素直に受け入れることはできないだろう。

LEICA M9-P / SUMMILUX-M 50mm f1.4 ASPH.

LEICA M9-P / SUMMILUX-M 50mm f1.4 ASPH.

人気のM9-P

このブログのエントリーのランキングで常に上位に来るM9-P。いまだに人気のようだ。M型ライカ伝統の採光窓のあるデザインとコダック社製CCDセンサーが生み出す絵に魅力を感じているファンがまだ少なくないようだ。

自分は残念ながら昨年M10-P購入時に手放してしまったがM9時代からアップグレードしたM9-Pまでトータル9年近く愛用した。おかげで撮影した画像はかなりの量がある。

M9系の魅力のひとつにJPG用ビンテージモノクロがあった。デフォルトで用意されていたがM9でのモノクロといえばこればかり使用していた。今見ても好ましい色気。M10-Pにも欲しいモノクロだ。

LEICA M9-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.

LEICA M9-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.

平成最後の終戦記念日

今日8月15日は73回目で平成最後の終戦記念日。自分の記憶の中での終戦記念日は73年前という感覚ではなく終戦後20年という感覚が強く残っている。1956年生まれの自分には1945年の終戦は物心ついた10~12歳頃に初めて意識した戦後20年という言葉が強く残っている。戦後73年という事実はにわかに信じ難い。

自分が終戦を意識した頃は戦後の光景がまだ残っていた。省線(今のJRの前身の前身)と呼んでいた電車内には片足や片腕の白装束の傷痍軍人と呼ばれる人たちが少なくなかった。幼稚園から小学校の頃は船橋で育った。その頃の船橋にはまだ雑木林が残っていてそこは自分たちのいつもの遊び場だった。そこには塹壕の後が多数あって塹壕内には兵隊の鉄兜や飯ごうなどの戦争の残骸が残っていてそこで戦争があったことを確かに実感した。

今はもうそんな光景も無くなり、現代の人々は戦争の事実は書物やテレビの特別番組、映画の世界でしか知ることは無い。自分は戦争体験者ではないが母親や親戚の体験談、そして幼い頃の記憶で準体験者の感覚だ。それは悲しく、過酷なものだったのだろうと肌で感じた。甲子園では毎年この日の正午には全員で黙祷を捧げる。だがそれも自分には形だけの虚しい光景に写る。

なぜならば、今の日本の様々な状況を見るにつけ、この国が同じ過ちを繰り返さないという確信はない。また、国の違いを問わず、人類は過去から正しく学べない性。繰り返す悲惨な歴史は悲しい現実を証明している。無責任だが自分には解決策が見当たらない。愚かな戦争で尊い生命を捧げた多くの先人たちを忘れずに生きることしか思い浮かばない。

ただし、ひとつだけぜひ望みたいこと。宗教や国の思惑などを超えて先の大戦で亡くなった全ての方々を哀悼する場を造ること。沖縄には平和の礎(いしじ)という場所がある。ここは沖縄戦で亡くなった人々を国や人種を超えて哀悼する場だ。建設時に少しだけ関わった経験があったのでぜひこの平和の礎のコンセプトに習った国立施設を造るべきだと強く思う。

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9

ワールドカップ雑感

始まる前は盛り上がりに欠けると思っていたワールドカップ。今年2月のピョンチャンオリンピックと同じで日本チームが活躍しだすと俄然盛り上がってきた。わがサムライブルーは3戦全敗の下馬評を覆し、第2戦を終えて負け無しの1勝1分。この結果を誰が予想しただろうか?自分はサッカーに特に精通しているわけではないが自国のチームが躍動し、結果が出ればワールドカップはやはり見入ってしまう。

それにしてもサッカーはやってみなければ本当に分からない。サッカーというスポーツは相手との相性や戦略、チームのフィジカルコンディション、選手のメンタリティ、監督の手腕、ピッチコンディションなどなど実に複雑な要素が絡み合う。野球などと違うのは一旦試合が始まると90分間の中で様々な要素が絡み合って流れが気紛れな風向きのようにコロコロと変わる。その結果、戦前の予想が覆ることが多々ある。ましてワールドカップでは選手の本気度も桁違いで国と国とのナショナリズムも絡み合って凄い試合になる。FIFAランキングや特定の選手の前評判も当てにならない。ゆえに面白い。

中継を観ていて痛感したことはサッカーというスポーツ、特に代表戦は結果云々よりも内容で満足度が違う気がする。勝ち負けに関わらず、お互いのサッカーを十二分に発揮してワクワクするようなプレーが観られればそれでかなり満足できる。今の代表はそういうサッカーを見せてくれている。こういうサッカーを常に見せてくれればかなりのサッカーフリークになれるのだが、どこの国の代表も常にそういうサッカーを見せ続けることは難しいらしい。4年に一度、厳しい予選を突破した選ばれた国だけの戦いだからこそ出来ることなのかもしれない。

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9