鬼滅の刃 劇場版「無限列車編」

以前に鬼滅の刃について書いた。その時にはこれほどの社会現象になるとは思いもしなかった。

劇場版「無限列車編」が公開3日で興行収入46億!10日で100億超え!コミック版は既刊の22巻全巻が1位から22位まで占めるなどとんでもないことになっている。コロナ禍でのネット配信やSNSでの広がりなどコロナ禍以前の状況とは取り巻く環境が変化したことが大きな要因になっているがそれにしても凄まじいことになっている。

鬼滅の刃は少年ジャンプ誌上ではすでに最終話を終えて完結している。コミック版としても今年12月刊行予定の23巻で完結する。今回の劇場版(コミック版で言えばまだ7巻~8巻あたり)を見た人がその後の続きを知りたいが為に既刊のコミック版を求めて大人買いする傾向があり、在庫切れがないkindle版の普及などと相まってヒットを加速させている。

それらの要因以外に何より鬼滅の刃自体の内容が素晴らしいゆえのことだと思う。鬼と鬼を狩る鬼殺隊の両方の人間模様が丁寧に描かれていてそれぞれの背景が激しい戦いを通じて観るものの心により突き刺さってくる。さらにアニメ版に続き今回の劇場版の作画も担当しているufotableによる映像美が群を抜いて素晴らしい。Lisaの楽曲も素晴らしい。作品としてヒットする要因が揃っている。

映像に関して特に後半30分のダイナミック感、スピード感、美しさはハリウッドやディズニー、ピクサーの映像に勝るとも劣らない完成度。自分は映画は比較的多く観ている方だが息をのむ映像美にスクリーンに釘付けになってしまった。アニメでこんな経験は後にも先にも記憶がない。社会的なブームは嫌い!という方やアニメはどうも苦手?という方も鬼滅の刃を知らない人生は大いなる損をしている。それほどの作品だ。

LEICA M10-P / Hektor 73mm f1.9

LEICA M10-P / Hektor 73mm f1.9

軽井沢千住博美術館

千住博氏の作品に初めて触れたのは2010年に開かれた横浜でのAPECの会場だった。それまで氏のことは名前は知ってはいたがバイオリニストで妹の千住真理子氏の兄上ということしか知らなかった。

千住博氏のご兄妹は画家と音楽家のご兄妹で芸術一家としてつとに有名だ。長男で画家の千住博氏、次男で作曲家の千住明氏、そして長女で妹の千住真理子氏のお三方でいずれも芸術性の高い作品ばかりを生み出している輝かしい一家だ。

2010年に横浜で開催されたAPECの会場で千住博氏の作品群が各国首脳を迎える空間を彩った。その会場記録写真の撮影で実際に氏の作品の数々をカメラに納め、たまたま最終チェックに訪れた氏をお見受けして上品で偉ぶらずに自然体のやり取りを垣間見てそのお人柄にも感銘を受けた。その時に初めて氏の作品を間近に拝見して感動し、その後は氏の作品を意識するようになった。

その千住博氏の美術館がAPECの翌年の2011年に軽井沢に開館して静かな人気スポットになっていた。今年の3月、氏の主要作品が各地の巡回展などを終えて2年ぶりに戻り、ほぼ全てが揃い、かつこの10月限定で一部のエリアでの撮影可という願ってもないタイミングが訪れたのですぐに伺った。

ウェブの評判や写真などでは感じられなかった美術館の独特の空間はとにかく素晴らしかった。ここで詳しく語り、伝えることは難しいが軽井沢の立地と自然と作品とを上手く組み合わせたランドスケープ的でかつリビング的な空間はいつも空間に接している自分が見ても静かな感動を生む素晴らしい空間だった。

作品は氏の若かりし頃の作品からなぜ滝=ウォーターフォールをモチーフにしていったか?から現在の崖シリーズへと続く変遷が一望できて居心地の良い空間で氏の作品群が体感できる。
ご興味のある方はぜひ!軽井沢千住博美術館
※12月末から2月末までは冬季休館になりますのでご注意を。 

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

センサー感度

「鬼滅の刃」をご存知だろうか?私と同世代あたりではあまり知られていないかもしれないが世間的にはあのワンピースを超えるヒットとなり、社会的に大きな話題になっている漫画だ。もともと2016年から少年ジャンプに連載され、昨年TVアニメで前半1/3が放映されて一気に火が付き、先々月、大ヒットの中、惜しまれつつ少年ジャンプ誌上で最終話を迎えてさらに話題になった。

自分はそのアニメをアマゾンプライムで見て夢中になってしまい、発売済のコミック版を20巻まで大人買いして21巻、22巻と最後の23巻まで予約してしまった。昨日21巻が手元へ送られてきて残りは10月に22巻、12月に23巻が送られてくる予定だ。コミックを全巻揃えるなど中学生依頼の出来事だ。この作品、アニメ版で大ヒットした主題歌、ストーリー展開、絵の美しさとダイナミックな表現にやられてしまったが特にその時代設定に惹かれてしまった。

鬼滅の刃は大正時代、鬼が登場して人間を喰い、鬼殺隊という戦士たちが鬼と戦うというシンプルなストーリーだが鬼と大正時代という設定に個人的には大きく引き込まれてしまった。大正時代の都市部はモボモガが流行った昭和直前の近代日本の香りがしていたが逆に田舎に行けばまだまだ明治の名残りがあって場所によっては江戸時代をも引きづっている土地もあったと思う。

そんな混沌とした時代設定の中、鬼という明治期以前のある種の恐怖の対象に対して近代の入り口の大正時代を背景に鬼殺隊の戦士たちとの戦いが凄まじく、当時のファッションや空気感などが新鮮に描かれ、ベースには古き良き兄妹愛が流れていて泣かせる場面も多く、一気に虜になってしまった。作者は吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)という魔訶不思議なペンネームでまだ30代の女性とも噂され、その歳でよくこんな時代設定を思いついたと感心しきりの作品だ。

日々常に思うことだが写真でも映画でも漫画でも何でも作品のヒントはどこにでもあって要はそのことに気が付くセンサー感度を持ち合わせているかどうかだ。今回はたかが漫画だがされど漫画で作品性も高い上に特異な時代設定という視点に大いに刺激を受けた。

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6