D-LUX2からD-LUX8へ

20年程前、ライカからD-LUX2というコンパクトデジタルカメラが発売された。シルバーに輝くアルミボディでM型ライカのデザインエッセンスを秘めた美しいデザインのカメラ。昔から美しいカメラには目が無い自分としては迷わず手に入れた自身初のライカブランドのデジタルコンパクトカメラだった。

それ以来、久しぶりのライカブランドのコンパクトデジタルカメラD-LUX8。2代目から20年を経て8代目となるライカのコンパクトカメラだがこのシリーズがこれほど長く続くとは思わなかった。初代から23年!パナソニックとの協業と言われているがよくぞここまで続けてきたと思う。

このカメラに惹かれた一番の理由は以前所有していたLEICA Q3譲りのボディデザインとインターフェイス。余計なボタンやダイヤル類を極力排したミニマルなデザイン。バルナックライカを彷彿とさせるミニマムなサイズ感で持った時の質感と適度な重さは小さいながらもライカらしい所有感を満たしてくれる。

肝心のカメラ自体の性能だが実は1700万画素のマイクロフォーサーズの画質にはあまり期待せず、デザインに一目ぼれして購入した。しかし、今どきのセンサーとライカブランドのバリオ・ズミルックスの絵は期待以上の画質でマイクロフォーサーズのセンサーを改めて見直した次第。

撮影体験と言う意味でもコンパクトながら良く出来ている。LEICA Q3譲りはデザインとインターフェイスだけでなく、モードダイヤルが無く、レンズの絞りリングとボディ上部のシャッタースピードダイヤルでオート・絞り優先・シャッタースピード優先が選べる。ファインダーも秀逸で本格的な撮影体験志向のカメラだ。

スマホでも当たり前の超高画素が溢れ返っている昨今、1700万画素は扱いやすく、被写界深度も適度に深い、感度に余裕のある低画素高画質、AFや手振れ補正も優秀でおまけにデザインが優れた小型専用ストロボも付いてくる。全体的にスローなレスポンスは今の自分には合っていて日常の光景を気軽に撮るにはとても良いカメラだ。

ほぼほぼ満足しているD-LUX8だが一点だけ惜しいところがある。その一点はスイッチオンで繰り出すズームレンズの姿。ここまで美しいカメラを作っておいてレンズが出た時のデザインは置き去りにされた感がある。残念でならない。

自宅のベランダからよくカメラを向ける。今年は異常なほどの長雨続きの合間に先週久しぶりに小江戸方面が赤く染まった。こんな時はスマホでも済むが素早くズームが出来てファインダー付き、JPG撮って出しでも美しい絵が撮れるD-LUX8はやはり良い。

LEICA D-LUX8

カメラの精神性

初めて自分のカメラを手にしたのが高校1年生の16歳、それから50数年、この歳になっても新しい機材にはワクワクする。仕事で使うカメラもプライベートで使うカメラもどれもワクワクする。それが生きる活力にもなっている。こうなったら死ぬまで機材にはワクワクしていたい。以前書いたプロダクトとしてのカメラの魅力もあるがそれに加えてカメラによって撮影時の精神性が違うという魅力があるから。

例えばコンパクトカメラを構えた時、一眼レフを構えた時、今時のミラーレス一眼を構えた時、仕事などで高画素カメラを三脚に据えて構えた時、中判カメラを構えた時、そしてレンジファインダー、特にライカを構えた時、それぞれ被写体に対峙する時の精神性が違ってくる。それぞれの精神性の違いは過去に軽く書いている。長いのでここでは省くが。

共通して言えることはカメラを持って被写体を見るとき、そのカメラから伝わる形や性格を手や脳が認識し、脳から視線を通じて見たモノがどう映るかをイメージし、その時と感じた瞬間にシャッターを押す。それが写真として記録される。カメラという道具の形態や機能がメンタルや手や足の身体的な動きにも影響し、記録される写真に反映される。それぞれ目的を持って生まれたカメラと自分がシンクロした撮影。それが実に楽しい!

LEICA D-LUX8

GRAN CLASS

夏休み真っ盛りに福井へ日帰り撮影出張。北陸新幹線のグリーン車はほぼ満席状態。仕方なく?いや向学の為に、いやリラックスの為に、いや撮影機材や大切なデータの安全の為に・・・色々理由はつけられるがグランクラスで往復してみた。

ちなみに北陸新幹線のグリーン車だが東海道新幹線のグリーン車に比べてリラックス感が感じられない。座席数が圧倒的に少ないせいか印象としてはいつも満席に近い。そもそも自分にとってグリーン車の最大のメリットはかなりの確率で二人席が一人で利用でき、その分リラックスできること。

他にも撮影機材の安全やシートの快適性などあるが北陸新幹線のグリーン車にはそれらがあまり感じられない。シート自体もどちらかと言えば東海道新幹線のシートの方が好みだ。印象としては東海道新幹線の指定席のちょっと上のグレード感だ。せっかくのグリーン車なのに残念感が強い。

それに比べて一車輛18席だけのグランクラスはさすがに快適だった。一人席と二人席があり、一人席のスペシャル感は東海道新幹線には無い。乗車時、アテンダントの出迎えがあり、席に着くとすぐにウェルカムセットが配られ、その後の軽食サービスやドリンクサービスもなかなかのクオリティ。

シートはバックシェルタイプのフルリクライニングで角度やオットマンの出し入れなどここまで細かく調整できるシートは経験がない。ただし一点、収納式のテーブルがデザインも質感も良いのだが大きさと位置が自分には少々違和感があり、さらに出し入れ時に他の手荷物の置き場がなく、ここだけが残念だった。

一流のシェフが考案し、材料も調理もよく吟味された洋食・和食が選べる軽食とオーダー自由なドリンク類はとても美味で、時間を忘れさせてくれた。おかげで福井までの約2時間半、往復5時間、東海道新幹線のグリーン車での大阪往復よりはるかにリラックスでき、疲労感も少なかった。

グランクラス自体は今更感はあるが持論として出張撮影時のこの手の出費はケチるべきではない。仕事のクオリティアップに繋がるならばこれも仕事の内だ。まあカメラマンの重装備と年齢的なこともあって普通席では耐えられないというのが本音だが・・・

LEICA D-LUX8

幸福バロメーター

昨今のSNS上では悲しいことにカメラを語ることを蔑む発言が少なくない。そもそもカメラは写真を撮る道具なのだから写真を語らずカメラだけを語るのはただの機材オタクで本来の目的から逸脱している的な狭い価値観の考え方だ。

特に写真の社会的な関わり・意味合いや作品そのもののクオリティなどに重きを置く人達は機材だけを語ることを忌み嫌う傾向がある。もちろん写真自体を語ることの意味と大切さは重々承知している。だがそこではない、そもそも論点が噛み合っていないのだ。

自分は以前から気に入ったカメラは撮影目的以外に工業製品(プロダクト)としての魅力を感じている。カメラは写真を撮る目的を持った工業製品として世に生まれてきた。工業製品は人の生活に役立ち、寄り添い、直接五感に響く道具として存在する。カメラも同様でプロダクトとしての素晴らしい魅力がカメラには存在する。

ライカやハッセルが永く愛されてきた理由にはプロダクトとしてのデザインの美しさや手にした時の質感からの高揚感など撮影目的以外の魅力を秘めていることは誰もが感じることだ。そしてその美しいカメラと共に過ごす時間が何よりも幸福と感じる人々が存在する。自分もそのうちの一人だ。

人生において一番大切なことは自分自身の「幸福バロメーター」でシアワセと感じる時間をどれだけ多く持てるかだ。ただの道具だの写真を撮ることが本質だの己の価値観だけを主張する輩が何を論じようが関係ない。大切なのは自分自身がシアワセと感じる「幸福バロメーター」だ。

写真を語り、深く探求する人が居る。撮影を楽しみ、技術を追求する人が居る。気に入った機材を愛し、大切にしたいと思う人が居る。お互いが幸福と感じる価値観を尊重し認め合うことが写真文化全体を高め広げることだと感じるのだが違うだろうか?

HASSELBLAD 907X 100C / XCD 2.5/90V

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