NAKANOJO BIENNALE 2023

先日、相方殿のデザイン学校の講師仲間でアーティストの大貫仁美氏の作品を拝見する為、群馬県の中之条町を訪れた。この町では数年前より町全体で中之条ビエンナーレが開催されていて今回で9回目。広範囲で様々なアーティストの作品が展示されている。

氏の作品の展示場所の「旧五反田学校」は明治42年に建てられた明治時代の小学校で当時の姿のまま残されている貴重な建物で町の重要文化財指定がされており、普段は一般公開はされていないが今回のようなイベント時に利用されている。

いくつかある教室の一室づつに各々のアーティストの展示がされており、訪れた時間帯が良かったせいで窓から射す光が印象的で氏のガラス素材と金継ぎ技術で創られた作品は時を刻んだ教室の雰囲気と射しこむ光と相まって独特の美しさと存在感を感じた。

ビエンナーレ自体は町の多くのスポットで行われ、一日では回りきれないボリュームだったが当日は他にもう一か所だけ、一番の見どころらしい県内一の大型旧家「やませ」の展示を見て帰路に就いた。天気も良く、初秋の大自然の中、思いがけずこころの充電が出来た。

LEICA Q3 / music:Good Morning Love , Artlist
ムービー閲覧パスワード:JLMV

Q3の遠近補正

M10-Pを所有していた頃、ファームアップでライカ・パースペクティブ・コントロールという機能が追加された。これは所謂シフトレンズと同様の描写をカメラ内で行う遠近補正機能。そのことは承知していたが最初から全く使う気が無かった。そのままM10-Pとはお別れした。

仕事柄、常時シフトレンズを使用している身としてカメラ内でのパース補正などもってのほか、話にならん。と、年寄り特有の思い込みで全く眼中になかった。Q3にも同様の機能があり、物は試しと先日、使用してみた。

大変恐れ入りました。補正の結果はなかなかの優秀さで画質の劣化等も見られず、かなり使える機能であることが分かった。よくもまあこれほど簡単に正確に補正ができるものだ。自然で無理のない絵にするには少々コツは要るがシーンによっては仕事でも十分に使える。

ライカがわざわざ追加してまでこの機能を入れてきたことが今更ながら分かった。ただし、EVF/背面液晶の使用が前提なのでM型ライカでの使用は未だに疑問に思うがこの機能と相性抜群のチルト液晶が加わったQ3ならば強力な武器になる。

LEICA Q3 / Monochrome HC / Perspective control

LEICA Q3 MOVIE

LEICA Q3で一番注目していたのが動画性能。Summilux 28mmが写し出す写真の素晴らしさは初代Qから分かっていたがプロ仕様とも言えるQ3の動画性能が明るい銘玉と相まってどんな世界を見せてくれるのか?そこに興味があった。

梅雨の合間にいつも通っている公園にQ3とDJI RS3 miniを携えて向かった。今回Q3は新たに4K60Pと8K30Pが加わり、他にもシネマ8K、シネマ4K、ProResも加わり、ほぼ仕事でも使える動画性能となった。

Q3独自のクロップ機能で28mm、35mm、50mm、75mm、90mmが動画で撮影可能となり、クロップはされるが8Kを使えば実質4K、悪くてもFHDレベルの画質で撮れるはず。さらにマクロ機能があれば様々なシーンがコンパクトなQ3一台で撮れるという理想的な動画機になると予想していた。

実際の現場で使った印象は28mm、35mm、50mmまでは全く問題無く撮ることが出来た。ただ、75mm、90mm、それにマクロを加えると手振れ補正はあるがジンバルのみではかなりデリケートな撮影になった。

三脚を使用すれば問題ないがQ3のマクロ撮影はよくある中望遠レンズである程度ディスタンスが取れる撮影ではなく、カメラ自体が被写体にかなり寄った撮影になり、条件的にこれがなかなか難しいと感じた。

動画形式は全て試したがシネマ8K、シネマ4K、ProResなど所謂MOV形式はビットレートが高く、撮るには撮れるが戻ってPCに対峙した時にほぼ動かない!という状況に。今の自分のPC環境ではMP4形式の8K、4Kが現実的でそれでも十分な画質と感じた。

F1.7のボケを生かしたQ3ならではの動画は期待通りだった。全て開放で撮っても全く破綻のない美しい映像が得られる。また、Q3のFilm Mode、今回はWBを太陽光に固定してNatural一択で撮影したが編集段階でのカラコレを一切しなかった。それだけQ3が持つカラーポテンシャルが高いと感じた。

基本スチールの人間の動画インプレなので詳細はその筋の専門家に譲るとしても写真家が撮る動画性能としては文句ない。今回はカメラ自体に慣れていないこともあって納得のいかないカットも多々あるがQ3一台で撮った梅雨の晴れ間のひととき、拙いショートムービーだがご笑覧あれ。

閲覧パスワードはJLMV

LEICA Q3 / Film Mode : Natural / 8K30P、4K60P、FHD Slow Motion / 28mm、35mm、50mm、75mm、90mm、MACRO Mode / DJI RS3 mini

8年の進化

巷の噂では現時点で一年半の入荷待ち?!のLEICA Q3。今回のスペック・パフォーマンスは人気が必ず沸騰する予感がして行きつけの老舗ショップに一番予約。運よく発売日に入手できた。Qシリーズは初代QとQ-Pを使用してQ2はパス。Q3は初代誕生から8年を経てのモデルだが8年という歳月はデジタルカメラにとっては想像を遥かに超える進化をもたらしていた。

カメラデザインはライカらしく不変。Q、Q2、Q3は一見して区別がつかない。中身の細かいことは省くがセンサーは初代の2400万画素から6000万画素へ。動画は初代のボタンを押すだけのフルオートから静止画・動画の切替えでマニュアルでの4K撮影はもちろん8Kまで内部記録できるようになった。動画のスペックはほぼプロ仕様と言っても過言ではない。

今回Q3に特に魅力を感じたのはこのプロ仕様並みの動画機能だ。新たにティルト液晶が搭載されてQ2譲りの手振れ補正とライカ独自のクロップ機能で4K、8Kを上手く使い分ければ引きの絵から寄りの絵までQ3一台で完結できる。写真に関しては初代からオーバースペックだったSUMMILUX 28mm f1.7と6000万画素の組み合わせは文句があろうはずがない。

さらにこのレンズ、開放から趙がつくほどの描写力で全く破綻が無い。動画でこそ生きるレンズだと確信した。梅雨の雨が続き、本格的な動画撮影は先になりそうだが先日、久しぶりに訪れた自由学園明日館、新たに用意されたLeica Looks Classicのテイストはこの場所の世界観と相まってQ3のスチールデビューにはちょうど良い場所となった。

LEICA Q3 / Leica Looks Classic