NIGHT EXPO

万博は不思議なもの。計画・建設中にはアンチの嵐が吹き荒れ、始まれば訪れた人々は未知の体験に目を輝かせ、彼らが発信したSNSに触発された人々は日ごと増えつつある。新しい技術や体験も良いがそれよりも馴染のない国の文化やその国の人々との直接の触れ合いこそ万博そのもの。

無駄と言われ続けた大屋根リングは実際に目の当たりにすると壮大で見る者すべてを魅了している。よく整備された季節の草花に囲まれた全周2キロ6階分の高さの遊歩道では広大な光景の中のパビリオン群を望みつつ光と風を肌で感じる散策は得難い体験。

日中の喧騒の後、夜の帳が下りたEXPOは別世界に変わる。大屋根リングや各国のアイデンティティを主張したパビリオンのライトアップはとても美しい。NIGHT EXPOの為だけに訪れても十分価値がある。

HASSELBRAD X2D 100C / XCD 3.2-4.5/20-35E

自由学園明日館

先週末、池袋のオフィスビル撮影の待機中に時間があったので約一年ぶりに明日館を訪れた。晩秋の美しい光が館内に射しこみ、とても穏やかな時間が流れていた。落ち着きたい気分の時にはうってつけの空間でいつまでも残っていて欲しい場所だ。

明日館は1921年に羽仁もと子、吉一夫妻により自由学園の校舎として建設された。設計はフランク・ロイド・ライト。当時の生徒さんたちのスケール感?なのかすべてがコンパクトで椅子やテーブルやライト・窓枠など細かい部分にも拘りのデザインが施されていてそれらが綺麗に保たれている。

20年ほど前、ここのホールや食堂などで婦人之友社の記念イベントがあってその記録カメラマンとして初めて訪れてお気に入りの場所になり、機会ある度に訪れている。大正時代の貴重な「遺産」として今も保存・管理され、様々なイベントにも使用されている。

拘りのザインが凝縮されたクラシックな空間にはハッセルブラッドが良く似合う。暗めの空間ではX2Dの手振れ補正は非常に心強く、ディティールにカメラを向けるには907Xのウェストレベルスタイルが目立たない。この空間の時間の流れにはスローなカメラが心地良い。

HASSELBRAD X2D 100C / XCD 3.2-4.5/20-35E

HASSELBRAD X2D 100C / XCD 3.2-4.5/20-35E

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 2.5/55V

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 2.5/55V

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 2.5/55V

HASSELBRAD X2D 100C / XCD 3.2-4.5/20-35E

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 2.5/55V

HASSELBLAD XCD 2.5/38V

雲の形はひとときとして同じ形が無い。色や形から季節の移り変わりが感じ取れる。自宅ベランダからのありがたい眺望。自然の天才デザイナーぶりが毎日愉しみ。身の廻りにはドラマチックなシーンが溢れている。

XCD 2.5/38V。Vシリーズの中では最軽量で最もコンパクト。ハッセルに詳しい人なら38mmと言えばSWCだが実際は30mmの画角なのでかなり違う。気分はSWCで写りは普通の広角レンズ。ただ、その普通さの奥が深い玄人好みのレンズだ。

HASSELBRAD 907X 50C / XCD 2.5/38V

カメラを愛でる

現在のプライベートカメラはハッセルブラッドのX1D2、907X、X2Dの3台。美しいスウェーデンデザインとアルミ削り出しの金属ボディが他にはない質感を醸し出すカメラ。そんなカメラを傍に置いて日々愛でている。ところが昨今、カメラを愛でているなどとSNS上で書けばあらぬ批判の的になる。

自分はプロダクトとしてのカメラが大好きだ。美しいカメラは眺めても触れても心地よい。そして撮影に当たっては常に感謝の気持ちを忘れない。その為にブログを始めた2004年から機材名は必ず記してきた。写真はカメラが無ければ何も生まれない。写真を撮らせて頂いている機材を大切に思い、感謝の気持ちを持って機材名を記してきた。

これからもこのスタンスは変わらない。お気に入りのカメラを日々愛でて、心が動き美しいと思ったシーンにシャッターを切る。好きな機材で好きな時に好きなように撮る。自分にとってはそれだけで幸せなのだからそれで十分だ。そこには機材に対する妙な偏見とご立派な写真論は必要ない。

HASSELBLAD X1D2 50C / XCD 2.5/55V