百年後芸術祭

先日、千葉県の内房総を中心に開催された百年後芸術祭の大貫仁美氏の作品を拝見する為に千葉の袖ケ浦までブチドライブしてきた。氏の作品が展示されているのは袖ケ浦公園内の市指定文化財の旧進藤家住宅。前回の中之条ビエンナーレでも旧五反田学校で展示されていた。氏の作品は長い歴史が刻まれた空間内でガラス素材と金継技術とが相まってとても魅力的でフォトジェニックだ。

今回は会場正面のメイン作品には展示台下部に内照式のライティングがされていたがもう少し暗ければより映えただろうと少々残念に思う。実はこのライティングは前回の中之条ビエンナーレの作品を拝見した後に無責任にも内部照明があればより魅力が増すのでは?と安易に助言させて頂き、それを採用?して頂いた経緯もあってこれは見届けなければ!と慌てて最終日に駆け込んだ次第。

今回撮影に使ったXCD 2.5/25Vは先日突然リリースされた広角レンズ。Vシリーズの新しい広角レンズで35mm換算約20mm。XCDレンズの広角レンズには初期のXCD 4/21(換算17mm)とXCD 3.5/30(換算24mm)そして昨年発売のXCD 4/28P(換算22.5mm)があるが今回は換算20mm。これだけ近い焦点距離でどれほど違うのか?と思われがちだが広角域での1mmの差は大きくかつ明るさもF2.5、最短撮影距離も短く当然写りも違ってくる。

ただし、このレンズも昨今流行りの専用ソフトでの補正前提の広角レンズで光学性能だけを問えば初期のレンズに比べて必ずしも優秀なレンズとは言えない。だが時代の流れには逆らえない。軽量・コンパクトとの引き換えでは仕方がない。何より907X系にはVシリーズのレンズが良く似合う。鏡胴は少々長めだがVシリーズ共通の鏡胴のスリムさもあって使い勝手は非常に良い。

HASSELBLAD 907X 50C / XCD 2.5/25V

HASSELBLAD XCD 3.5/30

ハッセルブラッドXシリーズのXCD 3.5/30。2017年にリリースされ7年、レンズとしては最新ではないがそれほど古くもない。ライカを長く使ってきたので7年なんてまだまだ生まれたてでライカレンズならば間違いなく最新レンズだ。このレンズ、MTF性能曲線を見ればとんでもなく優秀なレンズにもかかわらず地味な存在なのか所有しているユーザーは少ない。

中判専用なので30mmでも35mm換算だと24mmになる。その為、肉眼で見た広さ、奥行き感など24mmらしくない?自然な描写をする。さらにレンズデザインと重量バランスが素晴らしく、ピントリングのヌメリ感も程よく残っていて真面目に作られた金属製のレンズフードも良い。

この手のフィーリングには個人差があるので人それぞれだがいわゆるプロダクトとしての機材から伝わる「撮影体験」というものは確かに存在し、撮影時のメンタルに影響を与えているのは間違いない。少なくとも自分には影響がある。

しかしこのレンズ、まだたった7年で最新?にもかかわらずXCD 4/21と共に昨年生産完了となった。他にXCD 4/120MACROも生産完了でどのレンズも非常に優れたレンズだけに残念だ。新しいVシリーズやコンパクトな28Pなどラインアップが増えていくことは良い事だが初期の真面目に光学性能を追求していたレンズがラインアップから消えていくのは何とも寂しい限りだ。

余談だがX2Dの一億画素は本当に必要か?と問われることが少なくないが画素数と諧調と色づくりには相関関係があると感じている。数値的に証明せよと言われれば難しいがあくまで絵の印象だ。前時代的な価値観で言えば一億画素=大判プリントとなるがそれだけが一億画素の必要性ではない気がする。魂は細部に宿るは一億画素にも言えるのではないか。

HASSELBLAD X2D 100C / XCD 3.5/30 / JPG / AWB

HASSELBLAD XCD 2.5/55V

一月から三月までの目も回るような忙しさが終わり、昨日は久しぶりにご近所の伊佐沼の桜堤をゆるりと散策できた。最近はX1D2もX2Dもホワイトバランスはオート、画質はJPGオンリーで撮っている。仕事では毎回数百数千カットのRAW+JPG撮影でRAW現像後、ガチガチのレタッチでデータ納品という流れになる。

その反動と言えるのかもしれないがプライベートではフィルム時代のお作法に戻ってハッセルが目指すナチュラルカラーのまま出来るだけ少ない補正の絵が良いと思い始めている。フィルム時代のように撮影時にきちんと撮影されたハッセルの絵はハッとするほど美しく心地よく何とも言えない優しさがある。

この55Vは今年の初めに手にした。このレンズも未だに予約なしでは手に入れられず、ハッセルの恒常的な供給不足にも困ったものだ。この最新レンズシリーズの写りの印象は必ずしも良くなかった。今や現代レンズの常識?の光学性能ほどほどレンズなのだがレンズデザイン自体はVシリーズへのオマージュでなかなか良いと思う。

X1D2との組み合わせも良くマッチしていて新しいレンズの恩恵でAFも静かで速くなり、スリムで秀逸なデザインのグリップは相変わらず超絶心地よい。X2Dよりも軽くてコンパクトで標準域コンビとして常用になってしまった。見た目のサイズ感はソニーのミラーレス機並みでとても中判5000万画素機には見えないのも良い。

HASSELBLAD X1D2 50C / XCD 2.5/55V / JPG / AWB

HASSELBLAD XCD 4/28P

いつも通っているお気に入りの公園はこの時期が一番輝くのだがピークは短い。毎年ちょっと早かったり、遅かったり、様々な種類の樹々があって全てがベストタイミングで揃うことは滅多にない。振り返ると一昨年が最高のタイミングだった。その時は動画で納めていたので残念ながら写真では納めていない。この公園の移りゆく四季をハッセルで残そうと思い立ったのが昨年でまだ納めていないシーンも多く、今後、気候変動の影響もあってどうなることか・・・。

XCD /28P。ハッセルXシリーズ新世代レンズの4本目。35mm換算22.4mmの超広角だが写りは自然な28mm。軽量・コンパクト、デザインはシンプル系。最短は短く、ハンドリングは文句ないがMTF曲線はイマイチ。だが最終的なアウトプットは悪くないという流行りのソフトウェアでの後補正レンズ。たまたま発売日に手にしたがこの後補正が好きになれないレンズだった。しかし実際の撮影フィールドでは良い印象に変わった。軽量コンパクトで何より最短の短さはやはり使いやすい。X1D2との相性も良く、さらに古いXCDレンズに比べてAFが速いのも嬉しいオマケだ。

HASSELBLAD X1D2 50C / XCD 4/28P