フルサイズミラーレスの憂鬱

フルサイズミラーレス機の世界はニコンからZ6、Z7、キヤノンからEOS Rが出てソニーのαとガチの勝負になってきた。現在、自分の仕事ではEOS-5Dsとα7R3の2機種をメインで使用している。EOS-5Dsは常に三脚に据えてフルの5000万画素をベースに中判カメラ的な使い方。他は全て2台のα7R3を使用している。

先日、ある仕事でもほぼ全てα7R3でカバーした。カバーしたと言うよりαでなくては仕事にならなかった。ある仕事では超高感度、サイレント撮影、マニュアルピント、ロースピード連射モード。次の仕事ではコンティニュアス+ロックオンAF、サイレント撮影、ハイスピード連射モード。どちらもチルト式のモニタ使用。従来の一眼レフのEOSでは全く太刀打ちできない仕事だった。

軽い、小さいというのはソニーフルサイズミラーレスの謳い文句だったが今はミラーレスのメリットを生かしたパフォーマンスで無くてはならない存在になった。この流れを作ったソニーの功績は大きい。ニコンもキヤノンもやっとリリースはされたが今のモデルではまだまだフラッグシップ機とは言えないし、レンズを含むシステムも未完成だ。今のソニーに追いつき、追い越すのはさすがの2社でも並大抵のことではない。

ただ、本音を言えばそう簡単に超えられても困る。昨年末、ソニーからα7R3が出たと同時に思い切ってキヤノンからソニーにメインシステムをチェンジした。キヤノンで残したのは5DsとTSE17、TSE24、EF11-24の3本のみだ。だがまたキヤノンにメインを戻すと言うのは仕事とは言え、そう簡単な事ではない。ミラーレスの進化は大歓迎だが少々憂鬱な気分になる。

 LEICA Q

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日本の誇り

一昨日・昨日と撮影の仕事で大阪へ出張だった。先週は名古屋。来週も大阪の予定。出張には毎回、新幹線にお世話になっている。当たり前のように利用しているがこれほどありがたい移動手段はなかなか無い。時簡は正確、移動は速い、常に快適・安全、ついでに格好も良い。カメラマンには頭痛の種の撮影機材も飛行機のように制限はほぼ無い。いい事尽くめの新幹線。

先日、たしかNHKだったと思うが新幹線に関わる人々の密着番組に見入ってしまった。0系から700系まで経験されているベテランの運転士と整備士の方々の内容だった。中でも運転士の方が語っていた時刻表には分単位で表示されているが運転士は秒単位で運行していること。1秒遅れたと反省している姿は印象的だった。

後で知った事だが鉄道マニアでは当たり前のことらしい。300キロで運行している新幹線の運転士が1秒遅れたと語った日本の鉄道技術と運行技術には今更ながら敬服する。昨日もそんなことを考えながら快適でぐっすり寝入ってしまった。常に安心して移動できる新幹線、日本の誇り。関わる方々には感謝しかない。

 LEICA M10-P / SUMMILUX-M 35mm f1.4

LEICA M10-P / SUMMILUX-M 35mm f1.4

namie amuro Final Space

安室奈美恵さんが引退した。25年に渡って老若男女、各世代、これほど多くの人々に愛され、社会的にも影響力のあった女性アーティストは記憶に無い。まさに平成の歌姫。昨年突如引退を表明してこれもトップニュースになった。1年前に発表という異例のスタイル。スタッフや関係者たちには誠実な姿勢で幕引きをしてファンとはお別れの準備を完璧に用意した。そして愛され続けて身を引く。なんと見事な引き際だろう。

振り返ると今更ながら彼女の豊かな才能と資質、それを開花させた努力と精進。尊敬に値する。こんな自分でも彼女の曲はよく知っているし、よく聴いていた。また、たった一度きりだったが東京ドームのコンサートを観ることができたことは今では貴重な財産だ。MCは一切無しで約3時間を歌い、踊り、ステージを駆け巡る彼女のステージは圧巻だった。

先週はその安室奈美恵さんの最後のイベント「namie amuro Final Space」の会場記録写真撮影の為、沖縄~東京~大阪~福岡とタイトなスケジュールで4会場を飛び回ってきた。社会的な現象にもなっている引退とファンが何度も訪れている最後のイベントの仕事は大変光栄なこと。実際に撮影に行った各会場での圧倒される展示内容と訪れるファンの熱意と涙を目の当たりにして改めて偉大なアーティストだったと感じた。

今回のイベントはよく知られた多くの曲はもちろんファッションリーダーたるセンス抜群の膨大な衣装の数々や多くの映像、ビジュアルイメージなどひとつの時代を創ってきたクエリエイターとして引退に相応しい集大成のイベントだった。そんな彼女の引退という大きな節目にほんの少しだが関われたことは自分の人生の中でも忘れられない仕事となった。安室奈美恵さんお疲れ様でした。そして新たな人生に幸あれ。

 LEICA M10-P / SUMMILUX-M 50mm f1.4 ASPH.

LEICA M10-P / SUMMILUX-M 50mm f1.4 ASPH.

嬉しい知らせ

昨年も書いた記憶があるがこの時期の嬉しい知らせがまた舞い込んだ。先日、名古屋出張に向かうのぞみの車内でメールチェックをすると某大手ディスプレイ会社のデザイナーから喜びと感謝の内容のメールが入っていた。毎年、この時期は我々の業界ではその年の空間デザインの中で特に優れた空間作品に贈られるデザイン賞の発表の時期になる。

昨年10月に撮ったある仕事がDSA日本空間デザイン賞2018の金賞を受賞したとのこと。このデザイン賞はその年の1年間で作られた優れた作品の中から大賞1作品、金賞10作品、銀賞15作品、BEST50賞24作品、その他7作品が選ばれる。今年の応募総数は771作品だったそうで受賞すること自体、なかなかハードルが高いと言える。今回金賞10作品の中に入ったことは撮影を担当した者としては素直に嬉しい。何よりデザイナーや関わったスタッフの方々の苦労がこういう形で報われ、微力ながらその一助になったことが一番嬉しい。

実は撮影したこの時期、施設に居た母親の死期が近づいていていつお迎えが来てもいい状態でロケハンも含めて何度か京都に行く中、メンタルな面でも複雑な想いが重なる時期だった。ただ、企画もデザインも素晴らしい内容で撮影中も我を忘れるほどの空間だった。さらに母親の事もあったせいか普段よりも感覚が研ぎ澄まされて撮影に集中出来た。そんなこともあって今振り返ると感慨深いものがある。一生忘れられない仕事となった。

 LEICA Q

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仕事のハナシ「雲台」

空間系カメラマンは狭い世界だ。その為、専門にしているカメラマンには顔見知りが多い。だが、最近はご同業のカメラマンに混ざって若い新しいカメラマンの姿も見かけるようになった。その撮影スタイルを見る度に感じること???。カメラやレンズのセレクト、三脚しかり雲台しかり、その撮影スタイルしかり。専門としてまだ駆け出しなのか専門外のカメラマンなのか?いずれにしても看過できない感情が湧いてくる。

空間系撮影、すなわち「建築」や「室内」などの撮影は水平線と垂直線とその画面内でのバランス・配置を常に意識しつつ、デザインコンセプトに合った最適な構図が重要で原則はノートリミング撮影だ。広めに撮って撮影後にトリミングというカメラマンも散見するが、ブツ撮りなら理解も出来るが空間の場合、パース自体が変化してしまい、撮影時の構図の意図が変わってしまう。

また、特徴として使用レンズがほとんど広角系レンズになる。通常12mm~28mm前後の広角レンズがメインになるが、この場合、高さや位置が微妙に変わっただけで全く意図が違った構図になる。特に超広角レンズは左右に数センチ、上下に数センチ動いただけで全く違った構図になる。その為に現場レベルで正確な構図の決定が必要になる。

そこでミリ単位で微動可能な雲台が必要になるが、この要求に応えられる雲台はかなり限られてくる。ジャンルとしてはギア雲台と呼ばれる雲台だ。その中でもこれしかない!と、出会ってから惚れ込んでいる雲台が「ARCA SWISS」の「 C1 CUBE」と「D4 GEAR」だ。この2機種はノブによってミリ単位の構図変化が可能で動きも大変滑らか、その精度も桁違いだ。ギア雲台ではマンフロットの410や405が有名で私も長年愛用してきた。空間系専門のカメラマンには今でも御用達雲台だ。ただ残念ながらこの2機種に比べると滑らかさや精度、フィーリングなどは次元が違う。

三脚や雲台はカメラやレンズに比べ、後回しにされがちだがこと空間撮影のジャンルでは精度や正確さ、使い勝手などカメラやレンズと同等、いやそれ以上に大切なアイテムだ。だがベテランで著名な空間系カメラマンの中でもカメラは新しいものを使っていても雲台や三脚は長年愛用してきたものを使い続けている方が多い。ハスキーやジッツオの雲台を慣れ親しんでいるからと使い続けるのも考え物だ。カメラも進化しているが雲台も進化している。プロたるもの絶えず向上心と研究心を持ち続けなければならないと思う。

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