ジブリパークの撮影

明日11月1日、愛知県の愛・地球博記念公園に新設されるジブリパークがオープンする。

9月末と10月末、2回に渡ってトータル4日間、第一期工事の3エリア「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」の竣工記録写真の撮影で公園を訪れた。

ジブリのアニメと言えば多くの日本人が一度は見た経験があると思う。自分もジブリの世界観は大好きで特にナウシカやラピュタ、トトロなどはリアル世代なのでそれらの作品は何度も観た。ただ、その後の比較的最近の作品は観てはいたけれどあまり記憶に残っていなかった。このお仕事で改めて数本の作品を見直して臨んだ。

今回のジブリパークは一般的なテーマパークのアトラクション的なものは無く、豊かな自然が溢れる公園に溶け込んだアニメのテーマの世界観を再現した施設になっている。パークの詳しいことはYouTubeに散々上がっているので他の方々に譲るとして・・・今回の撮影がカメラマン人生で一番過酷になるとは夢にも思わなかった。

実は9月の撮影に臨む数日前から突然左膝が不調になり、痛みで深く曲げられなくなってしまった。元々左膝は以前から軽い痛みがあったり、抜けた感覚がたまに現れたりしていたのでとうとう来てしまったか?と。広大な公園で移動距離が多くなりそうな撮影で大きな不安を抱きつつ現場へ入った。

想定外だったのが公園内の高低差と階段の多さ、何もこんな時に一番膝にキツイ撮影になるとは。膝が深く曲げられないということは階段の昇り降り以外でも低い姿勢での撮影が厳しいということ。子供向のエリアも多く、自ずと低いアングルとなる。これがかなり堪えた。

今回の施設の撮影ボリュームも今までとは桁違いで3日間の撮影でトータル1万ショットを軽く超えてしまった。手持ちも含むがそれでも1物件ではダントツに多いショット数で初めてメモリーカードが足りなくなってしまい、慌ててヨドバシで買い足す羽目に。スポーツ撮影や飛行機撮影などでは1回の撮影で1万ショットを超えることも多々あると思うが、基本は三脚を使う空間系の撮影で1万ショット超えはなかなか無い。

最終日はアスリートのように痛み止めを飲んで臨んだが、膝の不調、撮影ショット数、重い機材を持ちながらの移動と高低差、カメラマンにとっては邪魔でしかない現場用ヘルメット!土禁エリアでの靴の脱ぎ履きの繰り返し、さらに9月の厳しい残暑!と、ワンオペの自分には三重苦、四重苦で本当に過酷な撮影となってしまった。

そうは言ってもパークの各エリアをほぼ独り占めしながら撮影できることは熱烈なジブリファンから見ればきっと羨ましいことなんだと思う。この仕事の役得でいつもありがたいと感じる。さらに来園者が笑顔でワクワクするそんな施設を撮影できる喜び。これが感じられる限り、どんなにキツくても続けられる。これが自分の年齢でもこの仕事を続けられるモチベーションかもしれない。

 ジブリパークは今までのテーマパークとは全く違う方向性の施設で出来れば天気の良い日に時間をかけてゆっくりと公園を散策しながらジブリの世界観を体感する施設。自分も落ち着いたら来園者として身軽な出で立ちでゆっくりと訪れてみたいものだ。と言いつつ楽しみなのが二期工事で完成予定のハウルの動く城の実物大施設の撮影。この城には思い入れがあるので今からワクワクしている。