GUNDAM FACTORY YOKOHAMA

12月19日、機動戦士ガンダム誕生40周年を記念して横浜・山下ふ頭の「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」で実物大のガンダムが起動した。6年を有したプロジェクト「GUNDAM GLOBAL CHALLENGE」に微力ながら3か月ほど前からカメラマンとして関わらせて頂き、昨日のグランドオープンまで数回に渡って山下ふ頭を訪れた。

残念ながら自分はリアルガンダム世代ではないのでガンダムについてはほとんど知識がなかったがプロジェクトメンバーと何度かお会いするうちにこれまでのご苦労と努力と情熱を知り、自分まで熱い思いを抱くようになってしまった。他にも多くのメンバーと接するうちに動くガンダムを生み出すことの困難さと意義深さを改めて知った。

このプロジェクトは単にアニメのキャラクターとしてのガンダムが動くという意味合いだけでなく、18Mの実物大ガンダムを動かすというエンターテインメントの発想が結果的に日本のロボット技術や最先端技術を進歩させることになったこと。さらにこの分野を目指す若い人たちに大きな影響を与えることになったこと等、多方面に影響を及ぼす意義あるプロジェクトとなった。

ファクトリー内にあるガンダム生みの親、富野監督の「ごめんなさい」から始まるメッセージボード。「今の大人たちが考え、実現できる動きはこれが限界で実際に二本足で歩かせることは出来なかった。チャレンジはしたけれど今の技術では実現は困難だった。これ以上の動きは次の世代の君たちに託したい」という趣旨の言葉にも心を動かされた。

グランドオープンの数日前、竣工記録撮影の為に自分を含めたスチールカメラマンやムービーカメラマンたちが丸一日朝から夜遅くまで動くガンダムと時間を共にした。夜の起動実験のシーンでは何度も起動と格納を繰り返すガンダムと奇しくも1対1での撮影となり、カメラマン冥利に尽きる体験をさせてもらった。

2022年3月までの期間限定の動くガンダム。例えて言えば6階建てのビルが目の前で人のように動く様と言えば伝わるだろうか?ウェブ上の写真や映像ではなく、実物をぜひ見てもらいたい!足元から見上げる動くガンダムは桁違いの迫力であることは間違いない。

iPhone 12 Pro Max / from GUNDAM FACTORY YOKOHAMA

iPhone 12 Pro Max / from GUNDAM FACTORY YOKOHAMA

SAITAMA SUPER ARENA NIGHTSCAPE

自分の仕事でのムービー撮影は基本的には空間系のデザインコンセプトムービーになる。その撮影フローは超広角レンズによる三脚固定での空間のシーン撮影、中望遠レンズによるディティールのイメージカット撮影、それに加えて広角又は標準レンズによる空間内のウォークスルー及び目線移動撮影。これらを組み合わせて空間のコンセプトムービーが構成される。

空間内のウォークスルーや目線移動撮影ではジンバルを使用する。これがあると空間のストーリーに人間目線での臨場感が出る。ところがジンバルという機材はとにかく撮影数をこなして慣れることしかマスターする方法がない。そこでここ数ヶ月、暇さえあればジンバルに触れるように努め、パンフォローモード、ロックモード、フォローモード、オービット、ボルテックスなどの各モードを素早く操作できるようトレーニングを続けた。

トレーニングを続けてもいざ現場に望むとなかなか思うようには操作できない。やはり相応のテクニックが必要だがそれでも使い続けるしかマスターする方法はない。最近ではかなり慣れてきたが自分の撮りたいイメージ通りにいかないことも多々ある。11月初旬、最寄りのさいたまスーパーアリーナで早々にイルミネーションが点灯したので撮影に向かった。

自分の仕事のジャンルに近い被写体だったのでどうしても仕事目線になってしまった。結果的には入れ込み過ぎてジンバル動かし過ぎのオーバーアクションの撮影になってしまった。だがやり過ぎるくらいのことをやって初めて節度を知るというか、これはこれで良い経験になった。

仕事でのムービー撮影は基本的には全てワンオペだ。ワンオペでは出来ることにも限界はあるがワンオペだからこそのメリットもある。デザイナー目線でスチールとムービーを同時に同じイメージで撮影できるメリットは大きいはずだ。とりあえず、三回続いたムービーワークはこれでひとまず終了。さらにスキルアップが叶った時にまたお付き合い願いたい。笑

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α7S3 / TAMRON 17-28mm F2.8 & SONY FE 24-105mm F4G
Picture Profile / PP10

バネに変わる

人は生きていく中で他人の言葉で傷ついたり、悲しんだり、喜んだり、励まされたりすることが多々ある。振り返ると自分の人生の中で忘れがたい影響を残したのは傷ついたシーンだった。しかしそこで浴びせられた言葉のお陰で今日の自分がある。

ひとつは自分が社会人1年生で右も左も分からないデザイナー見習いの頃のこと。あるイベントの仕事でプロダクションのディレクターと仕事をした折、企画書にあったMCという言葉が分からず「この世界に居てこんなことも知らないの?!」と会議中に人前であからさまに馬鹿にされたこと。

MCとはマスターオブセレモニーと言う意味でいわゆるイベントの司会者的な引き回し役のこと。空間系専門のデザインを勉強してきてイベントのことなど学んでこなかった身としては分からずとも悪くはないのだが、これが悔しくて駆け出しの身ながら深く傷ついた。

1年生に向かって人前で放つ言葉かどうかは別にしてその経験によってそれ以後、相手がたとえ1年生でもただ経験がないというだけであからさまに馬鹿にすることのないように肝に銘じた。相手のキャリアの多少や有無だけで態度を変えることのないように常にリスペクトを持って接することを心掛けてきた。

もうひとつはパーソナルコンピュータ黎明期の頃。ウィンドウズOSがまだWindows 3.1で自分もまだまだビギナーで数少ないエキスパートに不明なこと、疑問に思うことをその都度お伺いに行っていた。熱心さゆえ何度も何度も聞きに行ったせいなのかある時「そんなことは猿でも分かる!」と言い放たれた。

この時も何もそこまで言われなくても!?と思ったが、それがきっかけでもう二度と聞きに来るまい!と誓い、その時から全て独学で学ぶことが身に付いたお蔭で今のフリーランスとしての自分がある。マイナスの経験がプラスのバネに変わったということになるがこの類の事は誰にでも一つや二つはあるのではないだろうか?

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9 @Kamakura20170731

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9 @Kamakura20170731

40周年

ここへ来て再びコロナ禍が広がっている。これを何度か繰り返しながら終息へ向かうのだろう。長い戦いになる。そんな中、何件かは仕事のオファーを頂いている。ありがたいことだ。最近では現場スタッフも自分の息子か娘のような年齢ばかりでややもすれば孫?のような若いスタッフもちらほら。そういうスタッフとの出会いはこちらも刺激をもらえるので楽しみでもある。そして現場前はいくつになっても不安と期待とが入り混じっているが実は不安の方が大きい。

この8月で会社員でのデザイナー人生20年、その後のフリーランスでのフォトグラファー人生20年、この業界で仕事を続けて40年になる。これだけ長く同じ業界に居ても現場前の不安はゼロにはならない。空間と名の付くものならたいていのものは撮れる自信はある。それでも不安はゼロではない。ただ、それでちょうど良いと思う。いつまでも不安が無くならないから必死になれるし、真剣に臨める。そしていざ現場に出ると若いスタッフとのコラボレーションはアドレナリンが出まくって楽しくて仕方がない。

そんな若いクリエイターの方々から良い評価を頂けるとそれだけで素直に嬉しく、大きな励みになる。加えて最近では若いスタッフたちから教えられることも少なくない。今の現場は新しい感性が飛び交っている。これは嘘偽りのない心境だ。こうして思える性格と不安と感じる性格を親に感謝したい。自分自身にも他人様にも誠実で居ること。何にでも好奇心と向上心を持ち続けること。仕事を長く楽しく続ける極意はこれに尽きる。この歳になって改めて噛みしめている。

この業界に同じ1980年に入った相方殿も同じく40年!を迎えた。二人揃って同じ業界でデザイナー・イラストレーター、そしてフォトグラファーとして健康で大過なく生きてこられたこと。そして今でもオファーを頂けることに感謝したい。

LEICA M10-P / SUMMILUX-M 50mm f1.4 ASPH.

LEICA M10-P / SUMMILUX-M 50mm f1.4 ASPH.