HASSELBLAD XCD 2.5/55V

一月から三月までの目も回るような忙しさが終わり、昨日は久しぶりにご近所の伊佐沼の桜堤をゆるりと散策できた。最近はX1D2もX2Dもホワイトバランスはオート、画質はJPGオンリーで撮っている。仕事では毎回数百数千カットのRAW+JPG撮影でRAW現像後、ガチガチのレタッチでデータ納品という流れになる。

その反動と言えるのかもしれないがプライベートではフィルム時代のお作法に戻ってハッセルが目指すナチュラルカラーのまま出来るだけ少ない補正の絵が良いと思い始めている。フィルム時代のように撮影時にきちんと撮影されたハッセルの絵はハッとするほど美しく心地よく何とも言えない優しさがある。

この55Vは今年の初めに手にした。このレンズも未だに予約なしでは手に入れられず、ハッセルの恒常的な供給不足にも困ったものだ。この最新レンズシリーズの写りの印象は必ずしも良くなかった。今や現代レンズの常識?の光学性能ほどほどレンズなのだがレンズデザイン自体はVシリーズへのオマージュでなかなか良いと思う。

X1D2との組み合わせも良くマッチしていて新しいレンズの恩恵でAFも静かで速くなり、スリムで秀逸なデザインのグリップは相変わらず超絶心地よい。X2Dよりも軽くてコンパクトで標準域コンビとして常用になってしまった。見た目のサイズ感はソニーのミラーレス機並みでとても中判5000万画素機には見えないのも良い。

HASSELBLAD X1D2 50C / XCD 2.5/55V / JPG / AWB

ジブリパークとゴジラと・・・

昨年暮れからあっという間に日が経ってしまった。1月末から3月までの仕事が全盛期の様な忙しさで自分でも無事に撮影と納品を済ませられるのか?と不安になるほどの仕事量だったが、あと一週間ほどで落ち着きそうだ。一昨年、ジブリパーク一期工事での過酷な撮影の事は書いた。本日、ジブリパーク二期工事、つまり「魔女の谷」が無事にオープンした。これで全エリアが完成した。

今回も二期工事の撮影依頼を頂いて1月末の三日間、愛知のジブリパークへ行ってきた。前回ほどの超過酷な撮影にはならなかったが前回の酷暑に対して1月の撮影ならでは?で初日は雪!に見舞われ、酷寒のスタートとなり今回もどうなるのか!と心配したが二日目・三日目と天候は徐々に回復して最終日の午後には青空の中に劇的な雲が流れる天候になって屋外での撮影になるハウルの城はとてもドラマチックな撮影を終えられた。

完成が待ち遠しかったハウルの城だが実物大の高さ約20mはど迫力!本当に作ってしまった!という感想しか浮かばなかった。城の内装の拘り方も尋常ではなく、ジブリファンにとっては堪らない施設になっている。撮影は目まぐるしく変わる天候のおかげで雪の中のハウルの城や美しいマジックタイムでのハウルの城まで撮ることが出来て両カットとも天候のタイミングや通常の閉園時間を考えると滅多に撮れない貴重なカットとなった。

今回も役得で幸せな時間を持つことが出来た。ハウルの城は一年以上前の計画段階の小さな模型や実物大検証模型などから撮影を担当していたので他の施設よりも思い入れが大きく、魔女の谷には他にもジブリファンにとっては狂喜乱舞する施設やモノが限りなくあるのだがここでは伝えきれないのでぜひジブリパークへ!

3月には東京ミッドタウン日比谷前の初代ゴジラ像の撮影依頼があり、この時も天候とモデル役を務めた若い女性デザイナーのセンスのお陰で関係者の方々にも喜んでもらえる良いカットを撮ることが出来た。この時の撮影はモデルさんが気を利かして自前で用意した昭和テイストのファッションを見てゴジラマイナスワンモノクロバージョンが浮かび、映画のワンシーンをイメージしながらの撮影でそれが功を奏した。

その後、ゴジラマイナスワンは見事アカデミー賞視覚効果賞を受賞して日本中が盛り上がった。お蔭で初代ゴジラ像も大人気だったが残念ながら当初の予定通り受賞翌日に撤去となった。これ以外にもキッザニア甲子園や西武園ゆうえんち、東武動物公園、ツインリンクもてぎなどなどエンターテイメント系のジャンルの撮影が続き、社会的にも話題に上るような仕事に多く関われたことはカメラマン冥利に尽きる。

EOS R3 / RF24-70mmF2.8L IS USM

アップデート

年の瀬に思うこと、自分は世間的にはすでに高齢者と言える年代。同年代はすでに完全リタイヤしている者も少なくない。もちろんバリバリ働いている者も居ていわゆる現役世代を終えた我々の年代は生き方の違いが人それぞれ千差万別だ。そんな中、今年の自分は年齢を気にしつつアップデートという言葉が常に頭の中にあった。

心の片隅にはリタイヤという言葉も無くは無いがオファーを頂ける限り現役を続けたい気持ちの方が強い。だがこの時代、特に自分のジャンルでは現役で居る為にはあらゆる面でアップデートし続けなければならない。シンドイと思うこともあるが今はまだアップデート自体を楽しめている。特に今年はスチールとムービーの同時撮影の依頼が増えて基本ワンオペの自分にとっては体力・知識・技術・経験をフル稼働していく為にはアップデートし続けなければならなかった。

その結果、時代の先端を行く社会的にもよく知られた仕事を通じて大きな経験と刺激を貰えた。やはり自分にとっては先進的で魅力的な現場の環境に居続けてワクワクすることが心底楽しい。まさかこれほど長く現役を続けられるような人生になるなど想像もしなかったが人生とは分からないものだ。今年も多くの方々との出会いに感謝しつつ来年も健康でアップデートを怠らず、自身のパフォーマンスを上げ続けたい。そして大いに仕事を楽しみたい。

HASSELBLAD XCD 4/28P

いつも通っているお気に入りの公園はこの時期が一番輝くのだがピークは短い。毎年ちょっと早かったり、遅かったり、様々な種類の樹々があって全てがベストタイミングで揃うことは滅多にない。振り返ると一昨年が最高のタイミングだった。その時は動画で納めていたので残念ながら写真では納めていない。この公園の移りゆく四季をハッセルで残そうと思い立ったのが昨年でまだ納めていないシーンも多く、今後、気候変動の影響もあってどうなることか・・・。

XCD /28P。ハッセルXシリーズ新世代レンズの4本目。35mm換算22.4mmの超広角だが写りは自然な28mm。軽量・コンパクト、デザインはシンプル系。最短は短く、ハンドリングは文句ないがMTF曲線はイマイチ。だが最終的なアウトプットは悪くないという流行りのソフトウェアでの後補正レンズ。たまたま発売日に手にしたがこの後補正が好きになれないレンズだった。しかし実際の撮影フィールドでは良い印象に変わった。軽量コンパクトで何より最短の短さはやはり使いやすい。X1D2との相性も良く、さらに古いXCDレンズに比べてAFが速いのも嬉しいオマケだ。

HASSELBLAD X1D2 50C / XCD 4/28P