M10-Pのブラッククロームは思った以上に艶消し度が高く、Mモノロームに近い。その為、購入当初から手持ちのレンズは合わないがものが多いと思い込んでいた。このレンズもそのひとつ。だが、先日たまたまこのスタイルで使用してみて自分の思い違いだったことを少し反省した。このスタイルは古くからのM型ライカ伝統のスタイル。M3誕生後、ブライトフレーム枠に物理的な制限があった為に広角用外付けファインダーが作られた。そのおかげでこのレンジファンダー独特のスタイルが生まれた。
当時の外付けファインダーはライカの代名詞である工芸品のような逸品で現在のファインダーのクオリティとは比べるべくも無いが現製品はデジタル対応の21/28mmのダブルフレームでその点は便利だ。自分がM型ライカのスタイルで特に衝撃を受けたのがオールブラックのM4+Super-Anguron 21mm f3.4+12501+SBKOOの組み合わせ。SBKOOとは当時の外付け21mmファインダーの製品名。ガラスが枠一杯まで嵌め込まれ、今では作ること自体難しい外付けファインダーと専用フード12501のスタイルには痺れた記憶がある。
M10-Pにはビゾフレックス?と呼ばれる外付けのEVFがあるが昔のスタイルが刷り込まれているせいか自分には馴染めない。ゆえにいまだに外付けの21mmファインダーを使用している。M10になってLVモードの使い勝手がよくなり、シビアなピントや構図には即座にLVモードを使用すればわざわざ変なスタイルのEVFを使わなくても苦は無い。特に広角の場合はこの方法はなかなか良い方法だ。
ノンストラップのM10-Pにハンドグリップ+フィンガーグリップM+ビューファインダー12024の広角スナップスタイルは軽快で街中でも目立たない。M10-Pのシャッターフィールとボディサイズの回帰と相まってフィルムM型ライカ時代を髣髴とさせるフィーリングだ。EVF全盛のデジタル時代にクラシカルなスタイルだが自分の中にはいくつになっても旧来のM型ライカへの憧憬が根付いている。自分の中に潜んでいるライカの魔力だ。