400勝投手の金田正一が亡くなった。つい最近までワイドショーのご意見番として元気な姿を見せてくれていた。にわかに信じ難い。自分ぐらいの歳の男子にとってプロ野球の名選手達はヒーローだった。中でも金田、長嶋、王は永遠のヒーローだ。
金田は長嶋、王にとっても先輩格で特に新人の長嶋へプロの厳しさを教えたデビュー戦4打席4三振は強烈だった。金田は元々は国鉄スワローズ(現ヤクルト)という弱小球団に所属し、そこで400勝のうちの勝ち星のほとんどを残した。弱い球団で多くの勝ち星を挙げることは並みの投手では出来ない事だ。
400勝と簡単に言うが現役生活20年、その全ての年で連続で20勝を残さなければ記録にならない。今の野球では考えられないことだ。しかも当時はリリーフやクローザーなど確立していない時代、勝利のほとんどが完投勝利!記録に関しては最多通算奪三振、最多通算完投、最多通算イニングなどなど最多記録がこれからも破られそうに無い記録ばかり。やはり不世出の大投手だ。
現役を引退した後もロッテオリオンズ(現千葉ロッテ)の監督としてユニークなパフォーマンスで当時不人気だったパ・リーグをひとりで盛り上げ、観客動員にも大きく貢献した。巨人時代、ドームになる前の後楽園球場で一度だけそのピッチングを生で観たが長身のサウスポーから繰り出される糸を引くような速球の速さだけは強烈に記憶している。
巨人時代は故障もあって往年のスピードは出ていなかったらしいがそれでもマウンド上での勇姿は脳裏に焼きついている。また、人としても他者を貶さず、元気で頑張れ!といった励ますフレーズしか記憶に無い。どこぞの勘違いご意見番のように人を貶す、根拠無くケチをつける姿などほとんど見たことは無かった。野球人としても人としても豪快で素晴らしい人物だった。ご冥福を祈りたい。