緑寿のカメラ

HASSELBLAD 907X 50C & X1D2 50C

カメラもそこそこ使い込んで酸も甘いも噛み分けられるちょいと変わった人種にしかその魅力が見えてこないかもしれないカメラ。キヤノン、ニコン、ソニー、ライカなど今流行りの最新のミレーレスカメラとは確実に一線を画す希少なカメラだ。

起動はのんびり、AFもお世辞にも速いとは言えない。手ぶれ補正もない。デジタルカメラの電子パートは2世代くらい前と言ってもいい。手持ちではなく、三脚でブレを押さえ、絞り込んできっちりと撮らなければ最高の結果は得られない。

だがそのお作法の後にPCで開いた中判センサーの画像に息を呑むという至福の時が待っている。今まで数多くのデジタルカメラを使ってきたが画質だけで言ったらダントツのトップだ。デジタルカメラにとって一番肝心なものは画質!ということに改めて気づかされる。

ちょっと感動したのは背面モニタの大きさと美しさ。まるで中判のポジフィルムをそのまま見ているよう。メニューもグラフィカルなセンスとお年寄りに優しいインターフェースが素晴らしい。大きめのフォントが使われているがそれが見やすくかつ洗練されている。

今まであまり使ってこなかった背面モニタでのタッチ操作も大きい画面と相まってスマートフォンやタブレットのような滑らかな操作感で国産カメラやライカも含め、これほどシンプルでセンス良くかつ使いやすいメニューは初めてだ。

最新、最速、超高性能なミラーレス機に慣れている人には受け入れ難いスローなカメラだと思うがゆるりと写真と付き合っていきたい「緑寿」の自分にはぴったりのカメラだ。スローなハッセルと自分の年齢でしか撮れない写真があるはずだ。

HASSELBLAD 907X 50C / XCD35-75mmF3.5-4.5