SWCへのオマージュ

ハッセルブラッドSWC。フィルム時代の超広角専用機、伝説のカールツァイスビオゴン38mmf4.5を搭載、レンズ交換が出来ない潔いコンセプトとスタイル。そして換算約21mmで歪曲収差ゼロの光学性能。広角好きは誰もが憧れる存在で自分もかつて所有し、ピントも露出も何もかもマニュアルのカメラと格闘していた。

ハッセルブラッドXシリーズの超広角レンズXCD21mmF4は言わばSWCビオゴンへのオマージュ。そのレンズのピントリングがどうにもフィーリングが良くないので本日、原宿のハッセルブラッド東京へ持ち込んだ。ショールームとサービスを兼ねたイメージとして近いのがライカ銀座のハッセルブラッド原宿版だ。

ちょっと不満なことは予約なしでは受け付けてくれないこと。しかも営業日は水曜から土曜。日曜から火曜まではお休み。今風と言うかさすがハッセル様。いずれにしても何か疑問があるとここでしか解決できない。触れる製品がどこにでもあるというシロモノではなく、そこが不便と言えば不便だがそれだけユーザーが少ないということか。

レンズの状態だが購入当時からピントリングが軽くスカスカ。前後に若干のガタつきもあり、他のレンズに比べてどう考えても腑に落ちなかった。いくら電子式と言ってもさすがにおかしい。持ち込んだ結果、これは仕様とのこと。あらかじめ2本の21mmを用意してくれていて比べてみたが驚いたことにさほど違いがない。う~ん、何か納得がいかない。

これが通常の仕様ということは製品自体の考え方はどうなっているのだろうか?Xシリーズのレンズは実は日本の日東光学が作っているメイドインジャパン。光学技術ではその世界では有名らしい。だがXシリーズの焦点距離別の各レンズのピントリングやフィーリングにはリリースされた世代ごとに明らかに違いがある。フィーリングに一貫性がないのだ。これはハッセルブラッド東京のスタッフも認めていた。

光学性能は一流でもレンズ躯体の製造ノウハウや技術に関してはどうも経験不足なのではないかと懐疑的になってしまう。構造的にレンズシャッターも影響しているのかもしれないが日本国内でのユーザーが少なく、こういった情報も極端に少ないので残念ながらハッセルブラッド東京のスタッフに何となくかわされてしまった感が拭えない。少なくとも構造的な説明が欲しかった。

このXCD21mmF4。実際の写りは17mmの超広角になるのだがスクエアにクロップすると印象としてはSWCビオゴンで21mmの画角に見えてくるから不思議だ。写りは換算17mmでもレンズの焦点距離は21mmのパースだからあながち間違っていない気がする。SWCも焦点距離38mmが換算21mmの写りになるので厳密に言えば違いはあるのだが結果としてSWCのイメージで撮れればそれで良いのだ。

ハッセルブラッド東京の帰りに数十年ぶりに竹下通り近辺を散策した。あまりの変わりように完全にお上りさん状態。脇道も増えてあっちもこっちも若者ばかり、その若者向けのクレープやファッション関係のショップがどこも溢れ返っている。中国人以外の外国人も多く、ニュースで良く見たコロナ以前に戻りつつあるようだ。

その後は所用で新宿へ。所用自体が空ぶってしまったので時間が空いて都庁の展望室へ。以前から知ってはいたが機会が無く本日初体験。45階からパノラマ的に都内を一望出来て気分爽快。今日は寒くて空気が澄んで青空が眩しかった。快晴の中で久しぶりのスナップもどきも悪くない。少々フィーリングに不満があってもこのレンズは手放せないかな。

SWCへのオマージュと言いつつボディが907xじゃなければ我ながら説得力がないな。

HASSELBLAD X1D2 50C / XCD21mmF4