先日の村田諒太のWBA世界ミドル級タイトルマッチは村田の見事な5回TKO勝ちだった。試合前には相手のスティーブン・バトラーは若く連戦連勝のハードパンチャーゆえ前回のロブ・ブラント戦の様にはいかないだろうと感じていた。それが予想を裏切って素晴らしい勝利だった。
今回、驚いたのは村田のボクシングスタイル。以前はアマチュア出身ゆえ、防御中心の手数の少ない右ストレートだけが頼りのアウトボクシングな試合が多かった。それが前回のロブ・ブラントとのリターンマッチでは鬼気迫るボクシングを見せ、初回からガンガン打合い、今までの村田からは想像もできないスタイルで勝利を収めた。
こういう戦い方はモチベーションが高いリターンマッチではよくあるがそもそもボクサーは自分のボクシングスタイルを根本から変えることはなかなか出来るものではない。それがここ2戦の村田は今までの彼のボクシングスタイルとは180度違うボクシングを披露している。それもボクサー人生としては終盤に入るこの時期に見事に変身した。
長年ボクシングを見ているがこんなボクサーは今まで見たことがない。ボクサーにとって決して容易いことではない、それゆえ村田諒太というボクサーからは学ぶべき点が多い。村田諒太と井上尚弥。現役日本人チャンピオンの中では傑出した二人。どちらも謙虚で聡明、練習熱心で真摯な姿勢が素晴らしい。強さも人格も兼ね備えた真のボクサーアスリートだ。この二人をリアルで眼にすることが出来ることを幸せに思う。