「鬼滅の刃」をご存知だろうか?私と同世代あたりではあまり知られていないかもしれないが世間的にはあのワンピースを超えるヒットとなり、社会的に大きな話題になっている漫画だ。もともと2016年から少年ジャンプに連載され、昨年TVアニメで前半1/3が放映されて一気に火が付き、先々月、大ヒットの中、惜しまれつつ少年ジャンプ誌上で最終話を迎えてさらに話題になった。
自分はそのアニメをアマゾンプライムで見て夢中になってしまい、発売済のコミック版を20巻まで大人買いして21巻、22巻と最後の23巻まで予約してしまった。昨日21巻が手元へ送られてきて残りは10月に22巻、12月に23巻が送られてくる予定だ。コミックを全巻揃えるなど中学生依頼の出来事だ。この作品、アニメ版で大ヒットした主題歌、ストーリー展開、絵の美しさとダイナミックな表現にやられてしまったが特にその時代設定に惹かれてしまった。
鬼滅の刃は大正時代、鬼が登場して人間を喰い、鬼殺隊という戦士たちが鬼と戦うというシンプルなストーリーだが鬼と大正時代という設定に個人的には大きく引き込まれてしまった。大正時代の都市部はモボモガが流行った昭和直前の近代日本の香りがしていたが逆に田舎に行けばまだまだ明治の名残りがあって場所によっては江戸時代をも引きづっている土地もあったと思う。
そんな混沌とした時代設定の中、鬼という明治期以前のある種の恐怖の対象に対して近代の入り口の大正時代を背景に鬼殺隊の戦士たちとの戦いが凄まじく、当時のファッションや空気感などが新鮮に描かれ、ベースには古き良き兄妹愛が流れていて泣かせる場面も多く、一気に虜になってしまった。作者は吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)という魔訶不思議なペンネームでまだ30代の女性とも噂され、その歳でよくこんな時代設定を思いついたと感心しきりの作品だ。
日々常に思うことだが写真でも映画でも漫画でも何でも作品のヒントはどこにでもあって要はそのことに気が付くセンサー感度を持ち合わせているかどうかだ。今回はたかが漫画だがされど漫画で作品性も高い上に特異な時代設定という視点に大いに刺激を受けた。