Hektor 73mm f1.9。
この時期になるとなぜかこの玉に惑わされる。夏の光が強くなる前、空気が少しだけ乾燥しているこの時期ならではの玉と言えようか。今から80年以上前に生まれたライカの迷玉?激しく個体差があって果たして自分の玉がアタリ玉のか?大ハズレの玉なのか?外見と試写からでは玄人でも判別できないときがあるという泣かせ玉。
つい先日、手持ちのヘクトールを銀座の匠にオーバーホールを依頼していたが解像力もピント精度も大ハズレ玉ということが判明、相当色々な手が入れられていて手を付けられないとのこと。なんともはや悔しいやら恥ずかしいやら、いくつになってもライカには授業料を払い続けなけりゃいかんのか?と自己嫌悪状態。
すぐに売り払うことも考えたがそこは少し冷静になってこのまま持ち続けることに。実はこの玉、外観はかなり美しい上にシリアルナンバーだけ見ると相当なレア玉。なんと言っても最初期ロット94,500番台のうちの一本。しかもフードも前後キャップも付属していてそれが大変美しいシロモノ。手放すには忍びない。
まあ、もともとボケ玉、滲み玉と言われる玉、少々のことは気にせず、開き直って改めて撮ってみるとそれほど悪くはない。そこはかとない柔らかさは現代のデジタル対応レンズでは味わえない。女性など撮ったらおそらく喜ばれることは確実。やはり腐ってもライカレンズには人を惑わす魔力がある。この歳で改めて勉強させられた次第。