仕事のハナシ「雲台」

空間系カメラマンは狭い世界だ。その為、専門にしているカメラマンには顔見知りが多い。だが、最近はご同業のカメラマンに混ざって若い新しいカメラマンの姿も見かけるようになった。その撮影スタイルを見る度に感じること???。カメラやレンズのセレクト、三脚しかり雲台しかり、その撮影スタイルしかり。専門としてまだ駆け出しなのか専門外のカメラマンなのか?いずれにしても看過できない感情が湧いてくる。

空間系撮影、すなわち「建築」や「室内」などの撮影は水平線と垂直線とその画面内でのバランス・配置を常に意識しつつ、デザインコンセプトに合った最適な構図が重要で原則はノートリミング撮影だ。広めに撮って撮影後にトリミングというカメラマンも散見するが、ブツ撮りなら理解も出来るが空間の場合、パース自体が変化してしまい、撮影時の構図の意図が変わってしまう。

また、特徴として使用レンズがほとんど広角系レンズになる。通常12mm~28mm前後の広角レンズがメインになるが、この場合、高さや位置が微妙に変わっただけで全く意図が違った構図になる。特に超広角レンズは左右に数センチ、上下に数センチ動いただけで全く違った構図になる。その為に現場レベルで正確な構図の決定が必要になる。

そこでミリ単位で微動可能な雲台が必要になるが、この要求に応えられる雲台はかなり限られてくる。ジャンルとしてはギア雲台と呼ばれる雲台だ。その中でもこれしかない!と、出会ってから惚れ込んでいる雲台が「ARCA SWISS」の「 C1 CUBE」と「D4 GEAR」だ。この2機種はノブによってミリ単位の構図変化が可能で動きも大変滑らか、その精度も桁違いだ。ギア雲台ではマンフロットの410や405が有名で私も長年愛用してきた。空間系専門のカメラマンには今でも御用達雲台だ。ただ残念ながらこの2機種に比べると滑らかさや精度、フィーリングなどは次元が違う。

三脚や雲台はカメラやレンズに比べ、後回しにされがちだがこと空間撮影のジャンルでは精度や正確さ、使い勝手などカメラやレンズと同等、いやそれ以上に大切なアイテムだ。だがベテランで著名な空間系カメラマンの中でもカメラは新しいものを使っていても雲台や三脚は長年愛用してきたものを使い続けている方が多い。ハスキーやジッツオの雲台を慣れ親しんでいるからと使い続けるのも考え物だ。カメラも進化しているが雲台も進化している。プロたるもの絶えず向上心と研究心を持ち続けなければならないと思う。

LEICA Q

LEICA Q