自分の感覚としてライカレンズと言えば数年前まではライカオールドレンズと同義語だった。かなり長い間、現代のレンズには全く興味が持てなかった。我々の世代ではライカと言えばフィルム時代のM型ライカを意味する。同時に歴代のM型ライカのそれぞれの世代に生まれたレンズたちが膨大にある。それらはM型ライカを愛し、傑作を残した写真家たちと共に多くの伝説を作ってきた。
フィルム時代からのライカ愛好家は長い歴史の中の様々な伝説に憧れてその作品を撮ったクセのあるレンズたちを手にしたいと強く思うようになる。それに比べ、最新のレンズは写りはとても秀逸だがクセが無く、味も無い。伝説と呼べるものもまだ無い。ゆえに自分も最新のモダンレンズたちには食指が動かなかった。
だが、デジタル時代に生きるライカ愛好家として今のライカの存続も含めて現代の最新のライカレンズを使わずに愛好家と言えるのか?最新のモダンレンズを使って微力ながらライカを応援しようと考えを改めた。ちょうど3年前、タイミング良くこのSummilux 50mm f1.4 ASPH.とSummicron 35mm f2.0 ASPH.が限定のブラッククロームで発売された。50mmは初代Summiluxのデザインの復刻と謳っているが中身は現代のレンズ。35mmも当時は最新のASPH.レンズ。
この2本の写りは改めて語る必要がないほど秀逸で被写体と光の状況によっては唸る時がある。この2本にプラスして3本目としてSuper-Elmar 21mm f3.4 ASPH.を加えた。理由は21mmが昔から好きだったことと銘玉Super-Anglon 21mm f3.4へのオマージュだ。これも現代の21mmらしく文句のつけようが無い写りをする。ボディは専らM-P(Type240)だ。現代のレンズにはM-Pが合っている。もし、M10-Pが出ればこれに代わる可能性はあるが・・・
オールドレンズとモダンレンズ。合わせて6本で自ら仙人と呼ぶのは一般人には通じないだろうがレンズ沼に落ちた住人ならばご理解頂けると思う。世に数多あるライカレンズの中でたった?6本で満足できるということはライカの世界ではまさに仙人かと。まあ年寄りの戯言だが自らの戒めの意味もある。それほどライカの沼は自分を見失う。ここ数年はこの6本で十分満足していることは我ながら信じ難いことだ。