いきなり不遜な言い方だが他人様の写真が自分の写真に直接影響を与えたことは今まで全くない。他の方の作品を素晴らしいとか、美しいとか、上手いなあとか、良いなあ、と感じることはあってもそれが自分自身の写真や人生観などを根本的に変えることは無い。ゆえにそういう意味では写真展に足を運ぶことも少ない。
自分の写真はむしろ写真の世界の外の世界の影響を受けている。構図や色彩は絵画やグラフィックデザインから、光の感じ方や物語性、人との距離感などは映画やステージから、目の前の光景の感じ方は先人の言葉や偉大な音楽や四季折々の自然界の理などから影響を受けている。
これは写真だけでなく一般的に言えることだが発する言葉や態度、生きる姿勢、人生観などはすべて自分の今までの経験値を超えることはない。ゆえに優れた映画や絵画、デザイン、音楽、自然美などで自身のこころが動いたこと、実際に体感することが自分をカタチ創ることだと思う。写真の感性もその土台の上にある。
実はプライベートでの写真を作品と呼ばれることが気恥ずかしい。作品としての写真というものに対しては妙に照れがあって作品性をガチで真剣に語るシーンが苦手。ゆえに自分はいわゆる写真家と呼ばれる人種とは全く別世界に生きていると感じている。大好きなカメラという道具で写真という目に見えるカタチで身の回りの事象を自分が美しいと感じた瞬間を記憶として残すこと。そのことにしか興味がないようだ。そこには他人様の評価は存在しない。