時代の変わり目

最近、カメラ界でのユーチューバーたちの勢いが凄まじい。特にメーカーの新製品ハンズオンレビューのスピード感とレビュー内容が新しい時代を感じさせる。彼らは多くの登録者数を持ち、影響力は無視できない存在になっている。しかも今一番旬なミラーレス一眼はスチール性能とムービー性能が半端ない次元に入って今までのスチールオンリーのカメラマンの知識だけでは太刀打ちできない。

写真雑誌に雇われ、一世を風靡していたカメラマンたちは過去の遺物となって出番を失いつつある。メーカーも発表前に多くの人気ユーチューバーたちに新製品を手渡し、発表直後にそれぞれがハンズオンレビューの動画をアップしている。少し前まではこんな時代が来るとは予想もしていなかった。確かにユーチューバーたちは動画の知識はお手の物、しかもセミプロのような立場なのでメーカーに対してあまり忖度をしていない。

数年前まで雑誌レビューの掛け持ちをしていたプロカメラマンたちはメーカーに気を使い、デメリットを語らないいわゆる忖度した手ぬるいレビューだったことを考えると隔世の感がある。いつまでもメーカーのご機嫌伺いをしている時代ではない。ユーチューバーたちの台頭とアサヒカメラの廃刊は時代の象徴と言える。

そのユーチューバーたちが巻き起こしているキヤノンvsソニーの全面戦争。今月初めにEOS R5&R6が発表され、明日29日にα7s3が発表になる。いずれも現在のミラーレス一眼のリーダーを争う勝負カメラだ。ところがR5の一番のセールスポイントだった8K撮影でプロのハンズオンレビュアーたちが暴露した8K撮影時のオーバーヒート問題が浮上し、SNS上では騒然となっている。写真も動画もソニーを超えて一気にトップを狙ったキヤノンの勇み足だ。が、どうも想定内だった節がある。ただ、スチール機としては恐ろしいほどの超高性能機だ。

対してソニーのα7s3はほぼ動画専用機で「4K that works = 働く4K」の謳い文句で仕事で!制限なく撮影できる4Kを打ち出し、現ラインアップを含めかつての立場が逆転して王者の風格でキヤノンとの全面対決に入った。ユーチューバーたちのレビューも対決ムードを加速させている感がある。新製品でこれほどユーチューバーたちが影響を与えることは今まで無かった気がする。既存の写真媒体は路線変更しない限りますます苦しくなりそうだ。時代は大きく変わってきている。

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6