フイルム時代のハッセルブラッドの伝統であるウェストレベルの撮影スタイルと静かなレンズシャッターを継承し、中判デジタルカメラとして超絶に美しい画像を生み出してくれる。さらに今までの遺産であるフィルム時代の様々なカメラボディとも共存する。
そんな独創的なカメラがHASSELBLAD 907X100Cだ。リリースされてはや2年半だが前モデルの907X50Cから大きくブラッシュアップされ、特に撮影体験という意味では最新のカメラではなかなか体験できないカメラとして今でも色褪せず、今後も変わらない孤高の存在のカメラだ。
両手でボディとレンズを包み込み、被写体に対して頭を垂れて液晶モニタで構図を確認しながらピントを合わせる。絞りとシャッタースピード、ISO感度を確認し、右手の人差し指の腹で軽く押し込むようにシャッターを押す。静かなシャッター音の後、モニタには美しい画像が現れる。他のカメラにはない唯一無二の撮影スタイルだ。
動画の撮影機能などはなく写真撮影のみ、多機能でもなく速くもない。むしろスロー過ぎて現代のカメラに慣れた人には受け入れられないカメラだと思う。だが何でもかんでも速さや量を求めてきたデジタルカメラとは一線を画し、被写体とのスローで穏やかな時間をもたらしてくれる。
前モデルの907X50Cのユーザーの声を反映して細かいところまで改良され、レスポンスや操作性において痒い所に手が届くカメラになった。手にしてすぐに感じるのが外装の皮革がしっとりして滑りにくい素材に変わったこと。ボディを両手で包みこむスタイルにはありがたい改良点だ。
シャッター廻りのリングも少し高くなり動きが滑らかになって操作しやすくなった。モニタ下のボタン類も変わった。電源ボタンと再生ボタンが併用だったが再生ボタンが新設され電源ボタンが単独になってかつ少し低くなり、間違って電源が入ることが無くなった。ボタンの素材も柔らかなゴム系から硬質のプラ系になって劣化の心配がなくなった。
最大の改良点が薄いボディ907XとデジタルバックCVFの接点の切り離しボタンにロック機能が付いたこと。携行中にこのボタンが不用意に押されてデジタルバックが落下したユーザーが居たらしい。また、外付けビューファインダーの取り付け部分にホットシュー機能が加わりストロボがオン・オフ両方で使用可能になった。ポートレイト撮影や物撮りなどではプロ仕様になったと言える。
907X100Cの外観は907X50Cと全くと言って良いほど変わらないが多くの改良点が施され、カメラとして十分満足できるものになった。誰にでも勧められるカメラではないがこのカメラの撮影体験は昨今の多機能過ぎるデジタルカメラや高機能のスマホ全盛の現代において別次元の体験が出来る貴重なカメラだ。
HASSELBLAD 907X 100C / XCD 2.5/38V
HASSELBLAD 907X 100C / XCD 2.5/90V
HASSELBLAD 907X 100C / XCD 2.5/90V
