才能の終焉

生きていく上でこらえ切れない辛さの中、果たしてすべての人がきちんと理性を持って振舞えるのか?人は他人の立場や考え方、感じ方すべてを理解することは不可能だ。芸能人だろうが一般人だろうが「不倫」と言う括りでまとめて血祭りに上げる風潮。人生を左右したり、死に近い決断を迫る権利など誰にもないはず。

体調不良と才能の壁を前にして弱りきった小室哲哉氏を、それでも尚寄ってたかって痛めつける。文春の愚行やそれを取り上げ、ヌクヌクとしたスタジオで正義ぶって語るコメンテータたち。引退すら決めた才能に無神経な質問をぶつけるレポーターたち。いつからこの国の人々はこんな風になってしまったのか?

昨日ほど不快で悲しみに満ちた映像は見たことが無かった。なぜこんな悲しく情けない国になってしまったのか?あまりにも酷く言葉が出ない。同時にひとつの才能が終わった感がある。この私ですら彼の音楽で心が何度も癒されたことがあった。

中でも音楽座ミュージカルの「マドモアゼル・モーツァルト」での彼の音楽はきら星のごとくどれもが輝いていて素晴らしいものだった。モーツァルトの原曲を見事にミュージカルナンバーに昇華させた才能には舌を巻く。今でも名作中の名作と語り継がれるのは彼の音楽的才能に依るところが大きい。

引退はとても惜しいことだが、彼の音楽自体はこれからもずっと語り継がれ、聴かれ続け、確かに残っていく。今は心と体をゆっくりと休め、奥様との人生を全うされることを切に願う。

LEICA M-P / Thambar 90mm f2.2

LEICA M-P / Thambar 90mm f2.2