感じること

一昨日の新千歳空港でのアマチュアカメラマンたちを見ていて同じ光の中で同じ飛行機を同じようなレンズで同じ姿勢で撮っているのを拝見して、おそらく似たような写真を量産しているのではないのか?余計なお世話だがそんなことを感じてしまった。

昨今、特にカメラマンのマナーが取り沙汰されているがこれもステレオタイプの写真を撮りたいが為に思える。SNSが盛んになり、世界各地の美しい写真がいつでも見られる時代。その地で同じように美しい写真を撮りたいと思うのは人情だが、全く同じ構図の写真を撮ることに意味はあるのだろうか?多くのカメラマンが疑問を持たずに日々同じような美しい写真を求めて不本意ながらマナー違反を犯してしまっている。そんな風にも感じる。

今の自宅周辺には自然が溢れ、四季折々の光景に出会える。お天道様のご機嫌次第で様々なシーンが眼前に広がる。ひとときとして同じシーンは無い。翻って自然が少ない都会にも都会ならではの光と影が作るドラマティックなシーンが垣間見られる。下町には旧い家屋が作る懐かしい空気感とそこに暮らす人々の表情が垣間見られる。写真はどこに居ても自分の感性次第で見えてくるもの。それを感じるか感じないかだと思う。身近のところでもよく見れば魅力的な被写体が溢れている。

LEICA Q

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空美ちゃん

昨日は日帰りで札幌出張。撮影自体は予定より早めに終わり、あまりの暑さで早々に新千歳空港に戻った。新千歳空港のターミナルビルは何時間でも過ごせるほどのお気に入り。もう何度も来ているがグルメ・リラクゼーション・ミュージアムなど楽しめる施設が多い。まずはいつもの展望デッキへ。平日には何度か来たことがあったが週末の土曜日は初めて。

まず人の多さに驚いた。ほとんどが一眼レフに立派な望遠レンズを付けて離着陸の飛行機を追っている。中には女性の姿も多く、噂には聞いていたがこれほど多くの女性が男性に混ざって真剣にレンズを向けているとはビックリ。出張でQしか持っていなかったのでハナから飛行機は諦めて彼ら彼女らの後姿を観察させて頂いた。みんな装備も真剣度も凄くて後姿から熱気が伝わってきた。

思い起こせば自分も中学生の頃はいっぱしの飛行機マニア、その為にニコンの一眼レフを買って貰ったくらいだった。当時はよく羽田空港に通い、ロッキードL1011トライスターやDC10、エアバスA300などが盛んにデモフライトに来ていた時期。その当時、ヒコーキマニアは専ら男の子の世界だった。もう半世紀前!のこと。今や空美ちゃんたちが熱くなる時代。そのうち女性の飛行機プロカメラマンも生まれる予感すらある。隔世の感だ。

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小さな至福のとき

小江戸のイメージが強い川越だが、毎日のウォーキングルートはそのイメージとはかけ離れ、まるで北海道のような光景が広がる。川越市はかなり広い市だ。100平方キロメートルを少し超えてパリ市とほぼ同じ広さ。その為に様々な顔がある。こちらに来るまではそんなイメージは全く無かった。千葉の市川市から移り住んで7年。自宅近辺の光景にはいつも癒されてお気に入りの光景ばかりだ。

6月から再開したウーキング。ルートが色々あって毎日の楽しみ。片道直線2.5kmの上江橋を往復するルート、鳥の撮影でいつもアマチュアカメラマンたちで賑わっている伊佐沼を回るルート、入間大橋付近までの河川敷上の景色を見下ろす堤防ルート、などなど、どれもカントリーな美しい光景が広がっている。そこをちょくちょくQをタスキかけにして歩く。その時はウォーキングのペースはがた落ちになるが、美しい光景にしばし立ち止まり、シャッターを押す。誰の為でもなく自分が美しいと感じる光景に出会う瞬間。小さな至福のときだ。

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公にすること

俳優の砂川啓介さんが無くなった。声優の大山のぶ代さんの夫で認知症になった大山さんを献身的に介護していたことで知られていた。「君より先に死ねない」と奥様のことを気遣っての最後だったようだ。介護というものは経験した者にしか理解できない世界だ。砂川さんは当初は一人で全てを背負って介護をしていた。人に知られたくない、というのは介護者の自然な感情だ。しかし、これほど辛いことは無い。ひとりで全てを背負って生きていくことは長くは続かない。

砂川さんもとうとう堪えきれなくなった時に世間に公表した。公表して逆に楽になったと。辛いことを他人様に公にすること。なぜ楽に?と思うが良い意味での覚悟と周りの理解という空気が自分を救ってくれる。私も30歳から50歳まで20年間、母親を一人で介護し続けた。介護のために様々なことを諦めざるを得なかった。最後は会社も辞めた。フリーランスになったのはその為だ。フリーランスになってもしばらく介護のことは隠してきた。

だが、ある時、ブログで公表した。それから楽になった。それまでの自分はある意味格好を付けて無理をしていた。公表することは楽になる。これは本当のことだ。砂川さんも無念という気持ちとこれで楽になったという気持ちと後は奥様を待つという気持ちと様々な思いを持って旅立ったと思う。

このカットは自分が公にした時にブログで挙げたカットの別カット。今も施設暮らしの母親がまだ若い。

LEICA M8.2 / NOCTILUX-M 50mm f1.0

LEICA M8.2 / NOCTILUX-M 50mm f1.0