公にすること

俳優の砂川啓介さんが無くなった。声優の大山のぶ代さんの夫で認知症になった大山さんを献身的に介護していたことで知られていた。「君より先に死ねない」と奥様のことを気遣っての最後だったようだ。介護というものは経験した者にしか理解できない世界だ。砂川さんは当初は一人で全てを背負って介護をしていた。人に知られたくない、というのは介護者の自然な感情だ。しかし、これほど辛いことは無い。ひとりで全てを背負って生きていくことは長くは続かない。

砂川さんもとうとう堪えきれなくなった時に世間に公表した。公表して逆に楽になったと。辛いことを他人様に公にすること。なぜ楽に?と思うが良い意味での覚悟と周りの理解という空気が自分を救ってくれる。私も30歳から50歳まで20年間、母親を一人で介護し続けた。介護のために様々なことを諦めざるを得なかった。最後は会社も辞めた。フリーランスになったのはその為だ。フリーランスになってもしばらく介護のことは隠してきた。

だが、ある時、ブログで公表した。それから楽になった。それまでの自分はある意味格好を付けて無理をしていた。公表することは楽になる。これは本当のことだ。砂川さんも無念という気持ちとこれで楽になったという気持ちと後は奥様を待つという気持ちと様々な思いを持って旅立ったと思う。

このカットは自分が公にした時にブログで挙げたカットの別カット。今も施設暮らしの母親がまだ若い。

 LEICA M8.2 / NOCTILUX-M 50mm f1.0

LEICA M8.2 / NOCTILUX-M 50mm f1.0