いだてんは絶品!

大河史上一番の不人気「いだてん」が終わった。昨夜、NHKの大河ドラマ「いだてん」が視聴率低迷の中、1964年の東京オリンピック開会式が成功した場面で最終回を終えた。今回のいだてんは年初から視聴率が上がらず、大河史上最低視聴率も記録した。自分もオリンピックの歴史を中心に金栗四三と古今亭志ん生のふたつのストーリーが時代を行き来しながら展開する分かり難いストーリーに付いて行けず、工藤官九郎も今回ばかりは欲張りすぎて失敗したなとかなり批判的だった。

それがオリンピック初の女子メダリスト・人見絹江が登場する頃から評価がガラリと変わった。その後の前畑秀子に続く日本の女子アスリートの苦難の歴史は国民全員が見るべき価値があると感じた。さらに日本が初めて参加したストックホルムオリンピック、その後のまぼろしの東京オリンピック招致、そして戦後、アジア初の東京オリンピック開催とオリンピックとアスリートの通史を一年かけて丁寧に表現した番組は今までの大河とは違った価値のある大河ドラマだったと思う。

大河ドラマは戦国物じゃなければ視聴率は取れないと言われているらしいが来年の「麒麟がくる」の明智光秀や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などなど戦国大名ものはすでに語り尽くした感がある。歴史上、真実かどうかも分からない戦国物はいい加減見飽きた。そろそろ大河に対する価値観を視聴者側が考え直す時期に来ているのではないか。また、今年のInterBEE2019で今回の大河ドラマのVFX技術の凄さを目の当たりにし、技術的にも素晴らしい作品でそれゆえもっと多くの視聴者にこの傑作を理解してもらいたかった。

「いだてん」こそは大河史上に残る絶品だ!

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

なすしおばら映画祭2019

昨日は初の映画祭体験で那須塩原へ。今回はトライアルで正式には来年が第一回になる予定。ラインアップはショートフィルム中心だったがどれも内容は素晴らしく、充実した一日になった。各プログラム上映後のゲストトークは監督や俳優などの裏話など、学ぶところもあってとても面白かった。基本的な映画祭の形というものが分かっていなかったのでなかなか貴重な体験になった。来年への期待が膨む。

ちょっと残念だったのはプログラム間の休憩時間が少なく、1日通し券ゆえランチブレイク等がゆっくり取れず、空腹と連続上映に慣れていないがための座り疲れ、川越への帰り時間等の心配で最後のプログラムDを断念せざるを得なかったこと。プログラムDは行定監督、内田監督など著名な監督たちのゲストトークだったのでぜひ聞きたかった。

ただ、一番の目的だった友人の息子君の作品は素晴らしかった。那須塩原の人々をドキュメントで撮った作品で監督・撮影・編集その他ワンオペレーションでの力作。中学生の頃から彼の映像制作技術には秀でるものがあったので実に嬉しい。現在、武蔵野美術大学3年生!未来の巨匠への期待が高まる。

水口紋蔵監督作品「ホットミルクロード」

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

ありがとう、イネちゃん。

昨日朝、闘病中だった三毛猫のイネちゃんが天国へ旅立った。昨年のお正月に腎不全を患い、それから一年半以上、ほぼ毎晩輸液を点滴し、毎朝チュールに混ぜた薬を飲ませ、事あるごとに検査や注射で通院し、何度も死にかけた。こちらも本当に大変だったがイネちゃんもよくそれに耐えて頑張っていた。とりわけ相方殿の苦労は尋常ではなかった。

8年前に里親募集で我が家に来て以来、残念ながら自分には全く懐かず、相方殿だけには懐いていた。そんなイネちゃんでも亡くなってしまって動き回る姿が見えなくなると寂しいものだ。ペットの死は何度も経験してきたが何度経験しても気分が落ち込む。今頃は7年前に旅立った先住猫でイネちゃんが大好きだったアメショーのミーと仲良くしていることだろう。

毎日毎日相方殿と二人で格闘した日々が今は懐かしく感じる。どんな形でも家族には違いはなかった。全然懐かずに年がいもなくイライラしたり、気まぐれで気が向くと擦り寄ってきたり、カメラを向けてもすぐにプイっと顔を背けたり、具合が悪くなってからは夜中に何度も泣き叫んだり、色々あったが今は家族で居てくれたこと、ありがとうと言いたい。

我が家に来たばかりの時のファーストショット。小さい時からとびっきりの美人さんだった。

LEICA M9 / Thambar 90mm f2.2

LEICA M9 / Thambar 90mm f2.2

ハギビスとF1

先週末、過去最高勢力の台風19号(ハギビス)が関東地方へ刻々と迫る中、よりによって25年ぶりの鈴鹿のF1グランプリ観戦を予定していた。上陸とほぼ同時のタイミングで東京駅早朝発の12日から13日の観戦ツアーを申し込んでいたが新幹線の計画運休や鈴鹿サーキットのコンディション次第ではどうなるか全く予測できなかった。

あらゆる交通手段をシミュレーションしつつ、こんな非常事にF1などに行くべきか行かざるべきか迷いに迷ってさらに迷って結局ツアーがキャンセルになることを予想して前日の11日夜、友人と二人で自力で名古屋入りを強行した。過去見たことのない東京駅の激混みの中、友人の機転で席を確保、無事名古屋入りが出来た。その夜の名古屋は至って普通で平穏、拍子抜けした名古屋入りだった。

翌12日は台風の為、鈴鹿サーキットのスケジュールが全てキャンセルになり、2010年以来のワンデー予選・決勝のスケジュールになった。台風接近で名古屋の街も休業が相次ぎ、その為、12日はホテルで終日過ごす事になった。自宅に過去最高勢力の台風が近づく中、ホテルの部屋で入ってくる情報はテレビとSNSのハギビスの恐怖ばかり!これは本当に精神的に参ってしまった。

川越の自宅は入間川と荒川が合流する河川敷から数百メートルの立地!マンションの5階ゆえ避難や浸水の恐れはほぼ無いが駐車場の愛車が浸水の可能性があり、今回ばかりは相当な覚悟をした。12日夜、ハギビスが自宅近くを通過、タブレットで河川のライブカメラによる氾濫情報を見ながら、人生これほど恐怖と不安を感じて過ごす夜は経験が無かった。

翌早朝、自宅近辺がどうなったか不安を抱えながら快晴の鈴鹿サーキットへ入った。ちょうどサーキットのゲートを潜ると同時に相方どのからLINEが入り、自宅も駐車場も無事だったことを知り、安堵すると同時に鈴鹿の青い空がこれほど眩しく美しく見えたことは無かった。河川の氾濫もスレスレのところで回避、いつもは停電する自宅近辺も今回は全く停電しなかった。

台風一過、日焼けするほどの日差しの鈴鹿サーキット、台風の影響が若干残る風は心地よく、一日で予選と決勝が強行されたF1日本グランプリはレッドブルのエースドライバー・フェルスタッペンが早々にリタイヤ、約9万人が期待したホンダの表彰台を見ることは叶わなかったが25年ぶりの鈴鹿のF1はギュッと凝縮した忘れられない一日になった。

迷いに迷っていた自分の背中を押して鈴鹿へ送り出し、台風から自宅を守ってくれた相方殿に感謝すると共にこんな状況の中、強行に付き合ってくれた友人にも感謝したい。

RX100M6

RX100M6