菜の花ロード

少し前にゆるりと散策しながらウォーキングルートにしている河川敷の堤を歩いた。
ここは美しい菜の花が延々と続く菜の花ロード。ロードバイクやランニング、ジョギングなど近隣の人々には慣れ親しんだ道。

毎年、毎年、変わらない同じ光景なのだがこの季節が訪れる度に幸福感を頂戴している。ほんの小さなことでもそんな時間が持てることに感謝したい。このレンズのボケ方は柔らかくて優しい。こういう被写体を見るマインドとフィットしている。

EOS R3 / RF85mm F1.2L USM DS “DEFOCUS SMOOTHING”

ルークオザワ氏と自分

今年のCP+のキヤノンブース、航空写真家のルークオザワさんのステージをアーカイブ配信で拝見した。ルークさんは自分より3歳下でほぼ同世代、以前から色々な事で同じジェネレーション感を持っていた。ステージでは飛行機を撮り続けて50年の今昔をアマチュア時代の写真を交えてスライドショーで解説していた。

ルークさんはいつも紳士的で気さく、話も面白く大好きな写真家。そのルークさん、飛行機を撮り始めたのは10代で旧羽田空港からだそうだ。その当時の写真を紹介しながら振り返っていた。そこには自分にとっても懐かしい機種、ボーイング747ジャンボジェット、ロッキードL1011トライスター、マクダネルダグラスDC-8などに加え、当時の羽田空港内のスナップが映っていた。

まだ10代のアマチュア時代の彼が自分と同じような写真を撮っていたことを知り、自分が撮った当時の写真を探し出してみた。さすがにネガフィルムは残っていなかったがサービスプリントだけは残っていた。プリントの年代を見ると1974年で今から49年前!自分が18歳の頃、ルークさんとは同じ時代に同じ場所でニアミスしていたらしい。

機材はニコンの一眼レフにレンズは純正を2本。愛機はキヤノンではなくニコンだった。当時まだキヤノンは伝説のF1がようやく出たばかりでまだニコンの後塵を拝し、一眼レフは何と言ってもニコンの時代だった。だがフラッグシップのFやF2は高価過ぎて高校生ではさすがに手が出ず、普及機のNikomat FTnが精一杯だった。

おぼろげな記憶を辿ると下の写真は、Nikomat FTn / Nikkor HC 50mm F2 / Nikkor-Q Auto 200mm F4あたりで撮ったものかと。自分が映っているカットはたぶん50mmを携えている。一緒に羽田に通っていた友人が撮ってくれたのだろうが記憶は曖昧だ。当時はマニュアルレンズが当たり前で今とは隔世の感ありだがそれにしても拙い写真でなんとも懐かしい。

2022年振り返り

2022年も残すところあと二日。

プライベートでは今年は思い切った断捨離を断行。長年所有していた貴重なロードバイク2台とフォールディングバイク2台を売却。さらにライカのボディ・レンズ・アクセサリーも全て売却した。売る前は少々寂しさもあったが売却後は気分スッキリ。断捨離も悪くない。

特にライカは30年近くパートナーとして常に身近にあって慣れ親しんでいたので相当未練が残るかと思ったが自分でも驚くほどあっけなくサヨナラできた。ライカは本当に素晴らしいカメラだったがレンジファンインダーでのピント合わせが難儀になり、代わりにSLシステムとも思ったがM型以外には食指が動かなかった。さらに使いたいと強く思うレンズも無くなったことも大きな理由。

代わりにハッセルブラッドのXシステムを導入したことは以前書いた。ハッセルは超がつくスローなデジタルカメラだがそれなりにAFも使え、中判センサーのポテンシャルとボディ・レンズの造りの良さ等、ゆるりと付き合っていくにはちょうど良いカメラ。結果として後悔はない。

仕事面ではピーク時に比べて量は落ちたが今の自分には十分なオファーを頂き、ちょうど良い量とペースとなっている。内容も誰もが知るテーマパーク系やエンターテイメント系の仕事が増え、元々自分が目指していたジャンルだったのでフリーランス終盤にありがたいことだと日々感じている。

今の自分の年齢では同期たちは延長雇用も過ぎ、完全にリタイアした者や全く違う職種につく者もいる。そんな中、好きな写真とジャンルでやるべき仕事があること。また、こうして現役を続けられるのもいつも食事やその他を気遣ってくれる相方殿に感謝しかない。

来年も変わりなく、健康で今のペースで過ごせたらと願うのみだ。

緑寿のカメラ

HASSELBLAD 907X 50C & X1D2 50C

カメラもそこそこ使い込んで酸も甘いも噛み分けられるちょいと変わった人種にしかその魅力が見えてこないかもしれないカメラ。キヤノン、ニコン、ソニー、ライカなど今流行りの最新のミレーレスカメラとは確実に一線を画す希少なカメラだ。

起動はのんびり、AFもお世辞にも速いとは言えない。手ぶれ補正もない。デジタルカメラの電子パートは2世代くらい前と言ってもいい。手持ちではなく、三脚でブレを押さえ、絞り込んできっちりと撮らなければ最高の結果は得られない。

だがそのお作法の後にPCで開いた中判センサーの画像に息を呑むという至福の時が待っている。今まで数多くのデジタルカメラを使ってきたが画質だけで言ったらダントツのトップだ。デジタルカメラにとって一番肝心なものは画質!ということに改めて気づかされる。

ちょっと感動したのは背面モニタの大きさと美しさ。まるで中判のポジフィルムをそのまま見ているよう。メニューもグラフィカルなセンスとお年寄りに優しいインターフェースが素晴らしい。大きめのフォントが使われているがそれが見やすくかつ洗練されている。

今まであまり使ってこなかった背面モニタでのタッチ操作も大きい画面と相まってスマートフォンやタブレットのような滑らかな操作感で国産カメラやライカも含め、これほどシンプルでセンス良くかつ使いやすいメニューは初めてだ。

最新、最速、超高性能なミラーレス機に慣れている人には受け入れ難いスローなカメラだと思うがゆるりと写真と付き合っていきたい「緑寿」の自分にはぴったりのカメラだ。スローなハッセルと自分の年齢でしか撮れない写真があるはずだ。

HASSELBLAD 907X 50C / XCD 3.5-4.5/35-75