60の手習い

ここのところ、新たなチャレンジをしている。といっても全く新しい挑戦ではなく動画を一から勉強し直している。きっかけは友人の息子君だ。彼のことはなすしおばら映画祭のことで書いた。彼とは中学生の頃からの付き合いだがたまたま彼の大学受験の前年、彼の父親つまり友人から機材の相談があった。映像の道を目指している彼に今何が一番適しているか?私は即答でSONYのα7SⅡを勧めた。

今から4年程前のことなので当時はまだCanonのEOSムービーもシェアを保っていた。ただ、プロの映像クリエイターたちはSONYに将来性と可能性を感じ、当時、誰もが驚愕した動画性能と高感度性能のα7SⅡへと軒並み機材を変えていた。自分もいち早く購入していた。ただ一般の人たちからみていくら高性能でもボディだけで40万近い価格のα7SⅡは安易に手を出せる機材ではなかった。

プロでもユーザーが少なく高価と感じる機材をまだアマチュアで未成年の彼に勧めるのは正直迷ったが彼の才能と将来を考えるとぜひチャレンジして欲しかった。当時の彼はすでにα7SⅡを使うに相応しい才能の持ち主だった。そこで頑張ったのは父親であるその友人、元々はデザイナーの父親、息子君にも理解があって彼の為にボディとレンズその他を揃えると相当な費用になる機材を則購入してあげた。

その後、彼はα7SⅡを寝るときも枕元に置いて大切にし、優れた映像作品を次々と撮り続けた。大学受験時には彼の作品のクオリティとプロでもまだユーザーが少ないα7SⅡを使いこなしていることで並み居る面接官たちを驚かせたと聞いた。相応しい道具が彼の人生を大きく変え、過日のなすしおばら映画祭へと繋がった。勧めた自分もこれほど嬉しいことはない。

実は彼の作品は公開される前にいつも見せてもらっている。そして意見を求められている。中学生の頃は突っ込みどころ満載だったが今は唸るばかりで彼の才能の豊かさに自分は逆に落ち込み、動画の仕事を受けることを躊躇するほどだった。ただ、ありがたいことにそんな自分もスチールのついでとは言え、動画の仕事が絶えない。

そこで一念発起、初心に帰り、彼をお手本にしながら一から動画を勉強し直そうと日夜ユーチューブに噛り付いている。今は本当に便利な時代になった。ユーチューブには機材やソフトのノウハウが溢れている。若い才能たちの作品も目を見張るものばかり、学ぶべきことが山ほどある。還暦を過ぎた60の手習いだが空間の世界で培った経験を活かせるよう技術をさらに磨きたいと日々励んでいる。

LEICA Q-P

LEICA Q-P

なすしおばら映画祭2019

昨日は初の映画祭体験で那須塩原へ。今回はトライアルで正式には来年が第一回になる予定。ラインアップはショートフィルム中心だったがどれも内容は素晴らしく、充実した一日になった。各プログラム上映後のゲストトークは監督や俳優などの裏話など、学ぶところもあってとても面白かった。基本的な映画祭の形というものが分かっていなかったのでなかなか貴重な体験になった。来年への期待が膨む。

ちょっと残念だったのはプログラム間の休憩時間が少なく、1日通し券ゆえランチブレイク等がゆっくり取れず、空腹と連続上映に慣れていないがための座り疲れ、川越への帰り時間等の心配で最後のプログラムDを断念せざるを得なかったこと。プログラムDは行定監督、内田監督など著名な監督たちのゲストトークだったのでぜひ聞きたかった。

ただ、一番の目的だった友人の息子君の作品は素晴らしかった。那須塩原の人々をドキュメントで撮った作品で監督・撮影・編集その他ワンオペレーションでの力作。中学生の頃から彼の映像制作技術には秀でるものがあったので実に嬉しい。現在、武蔵野美術大学3年生!未来の巨匠への期待が高まる。

水口紋蔵監督作品「ホットミルクロード」

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

アルキメデスの大戦

戦艦大和を描いた映画は過去に数多くあったがこのように描いた作品は今まで無かった。たまたまこの映画の予告編を観て心に引っかかり、ものすごく観たい想いが強くなり、公開を心待ちにしていた。理由は自分でも分からない。そしてなんと初日の初回の上映を観てしまった。こんなことは初めてのこと。

あらすじは戦艦大和の建造に関わる海軍部内の争いを軸にひとりの天才数学者が大和建造を阻止する物語。現代にも通じる海軍部内の愚かな争いや、避けられない戦争への道、その中でも賢明な人々の戦争阻止の為の努力など、数学エンターテイメント的な面白さも合わせ持ちつつ、こういう切り口で戦艦大和を表現し、戦争を考えさせる作品は今まで無かった。

監督は「永遠のゼロ」「ALLWAYS 三丁目の夕日シリーズ」などのVFXで有名な山崎貴。冒頭の大和沈没シーンは短い時間ながらインパクト十分、過去の大和を扱った作品と比べてもダントツのクオリティで映画が始まった瞬間から目の前で大和が轟沈していくシーンが飛び込んでくる。大和の歩んだ悲劇的な運命を知っている人にはそれだけで泣けてくるようなリアルさ。戦争映画だが戦闘シーンはこれだけ。俳優陣も菅田将暉、舘ひろし、橋爪功、國村隼、田中泯、笑福亭鶴瓶などなど個性が強くて蒼々たるメンバー。

ラスト近くの菅田将暉と田中泯との大和に対する思いのぶつかり合いはその深い意味も含め、見応え十分。太平洋戦争の歴史は後世、指導者側の史実が主に残され続けている。だが、中には指導者たちに異を唱え、正しい信念を貫いた人々も少なからず存在したはず。今までとは違う視点から戦争を見るという意味、そして過去の大和作品とは違って大和賛美だけで終わらないこの作品は期待を大きく上回る傑作!

映画冒頭にほんの短いシーンだが史実に基づいた象徴的なシーンがある。大和の攻撃で撃ち落され、海にパラシュートで落下した米軍パイロット、それをすぐさま救助の為に飛来する飛行艇、サッと救助して何事も無かったかのように飛び立っていく。それを目の当たりにした大和乗組員のあっけにとられたような驚きの表情。大和最後の出撃は援護も何も無い決死の特攻作戦。兵士(人の生命)に対する考え方の違い。このシーンを入れた制作陣の思いは重く感じる。

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

スターウォーズよりも・・・

スターウォーズのサイドストーリー?のハンソロが公開されている。1977年公開のエピソード4からのスターウォーズリアル世代としては興味は無いわけではないが、ここ数年のスターウォーズシリーズには正直疑問符が付く。特にディズニー制作の作品からは何としても観たい!とは思わなくなった。ストーリーとしては全て繋がっているとは言え、ビジネスライクで脇道にそれ過ぎている印象が強い。

実はスターウォーズよりもお気に入りのシリーズがある。ジュラシックシリーズだ。1993年公開のジュラシックパークからリアルで観てTVなどの再放送でも何度も何度も観ている。このシリーズだけは何度観ても飽きない。スターウォーズの映像にも当時は驚いたがジュラシックパークの恐竜のリアルさとそれらが俳優と同時にスクリーン上で違和感無く動いている様はこんな映像が本当に出来るのか?と驚愕した。

やはり恐竜というものはいくつになっても未知の生物でもあり、ある種の憧れでもあり、同時に我々地球上に住む生物としてのルーツでもある。それがスクリーン上で時を越えて現実のように映し出される。スターウォーズは娯楽としては楽しいがジュラシックシリーズとはリアリティが違う。今週末公開の「ジュラシック・ワールド/炎の王国」も公開と同時にぜひ観たいと思っている。

LEICA Q

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