早朝の東寺

一昨日、昨日と仕事で京都へ。現場は長岡京のサントリー京都ブルワリー。朝早い現場入りだったので前泊で京都駅近くのホテルへ夜到着。いつも思うのはせっかくこの時期の京都なのに常に仕事優先で桜を愛でながらの散策の時間など夢のまた夢。

しかし、ふと思いつき早朝という手は無いのだろうか?と。調べてみると意外と早朝から開門しているお寺が結構ある。中でも東寺は開門が午前5時!参観は8時半からだが境内ならば自由に散策できる。幸いにもホテルから15分ほどの距離。朝の散歩がてら5時起きで東寺へ向かった。日の出は6時前なのでまだ薄暗かったが着いた頃には空が白み始め、境内にはジョギングする人が数人ほど。

今や昼間の京都のお寺はどこも観光客でごった返している様子で桜の時期ならなおさら。それに比べて参観時間前の東寺の境内は独り占め状態で大正解だった。桜は場所によっては八分咲きのものもあったが、緩いオールドレンズを付けた二台のライカを携えて静かな境内をゆっくりと散策する時間ははなかなか贅沢なものだった。京都にはオールドレンズがフィットしている。

LEICA M-P / SUMMILUX-M 35mm f1.4

LEICA M-P / SUMMILUX-M 35mm f1.4

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9

PORTRAIT by Q

先日、新設されたアトラクションの撮影で一年ぶりにツインリンクもてぎに行ってきた。前回はテーマ性を持った迷路的なアトラクションだったが今回はそれにアスレティック的な要素が加わって内容もより充実して撮りどころ満載の施設に出来上がっていた。

撮影立会いはこの施設の企画・デザインを担当したディレクターとデザイナーでどちらも自分が勤めていた会社の後輩に当たる。デザイナーは小柄で可愛らしい女性で前回の迷路も彼女がデザインを担当していて、もてぎと八景島とこれで3施設目になり、かなり手馴れてきた印象。今回の施設もとても楽しく良く考えられた施設で色々な人たちが楽しめる内容になっている。撮影自体は機材を持ちながらアスレティックを実体験するので結構キツい仕事だ。

施設の撮影と同時に今回は出来ればスタッフの撮影もと考え、Qも持参した。Qのポートレイトはレンズの優秀さと顔認識AFの便利さでハマると素晴らしい結果になる。ただし、28mmという広角レンズは相手との距離感や背景などを考慮しないと広角特有の描写になることを改めて実感した。レンズが優秀過ぎて写り過ぎるのが女性にとっては玉に瑕かもしれない。

LEICA Q

LEICA Q

ヨシダナギ女史の撮影法

先日、クレイジージャーニーという番組で女性写真家のヨシダナギさんをゲストに彼女のアフリカ青の民族「トゥアレグ族」との交流と撮影が描かれていた。内容自体は以前にも彼女がアフリカのとある民族を訪ねて撮影をする内容と基本変わらなかったが、あるシーンで目が釘付けになった。

モデルになってくれる数人の男性に太陽を背に逆光で象徴的な位置に立ってもらい、それぞれポーズを付けていざ撮影になった。彼女の機材はニコンの一眼レフ(おそらく標準ズーム付きD810?)を三脚に据えてProfoto A1をオンカメラ用とオフカメラ用2台でライティングし、シャッターを切っていた。

出来上がりの写真を見て唸った。普段はストロボ否定派でどうしても人工的な光になってしまうことが嫌で、またそうならない為にはかなりの準備とそれなりの出費が必要で自分には縁のないことと考えていた。彼女の作品を見る前までは・・・その作品がコチラ。逆光の中、上手く光を回してポージングも完璧、彼らの凛々しい表情とバックの美しい風景と相まってどこか別の惑星?と思えるほど美しい作品になっていた。

不遜な言い方だが他人の作品に滅多に影響を受けることは無いのだが、自分でもこんな作品を撮ってみたい!と衝動に駆られてしまった。聞けば彼女は独学で写真を学び、技術的なことは自分はそれほど詳しい訳ではなく、ただ、こんな風に撮りたい!と思っているだけだそうだ。久しぶりに他人様の作品と撮影法で刺激を頂いた。

LEICA X2

LEICA X2

見習いたいこと

毎年初日には必ず行っていたCP+。今年は仕事が詰まっていて全く行くことが出来なかった。メーカーの担当者と直接話が出来る機会であったり他のプロの方々の独特なお作法などは勉強になるので時間を作りたかったがお仕事優先のフリーランスとしては致し方ない。中でも今年は三澤武彦氏がお話をされるということだったのでどうしても伺いたかったが本当に残念だった。

三澤武彦氏は私が尊敬する数少ない?プロの写真家で結婚式や家族写真・出産後の人々の撮影を専門としていてとりわけ結婚される前のカップルを独特の撮影手法で少し照れた中にも輝くような笑顔の写真をたくさん撮られている。数年前、新宿のエプサイトで写真展をされていた折、一度だけお会いする機会があってどうしたらあのような写真が撮れるのか?撮影助手として立ち合わせて頂きたいくらいだとお話すると大変謙遜されていたことを記憶している。

写真は撮影者の人柄が出るというがやはりそれは真実だ。特に人などを撮る場合は如実に現れる。三澤氏の写真は氏のお人柄で撮っているとも言える。翻って自分の場合はどうか?被写体は違えどもそこには空間を創った人々が存在する。自分はその創った人々=デザイナーやディレクターやスタッフの方々とどのように接するか?現場の空気をいかに自分が撮りやすい空気にするか。この良し悪しが結果に繋がると感じる。

コメディアンの高田純次氏が歳を取ったらやってはいけない三つのこと「昔話」「自慢話」「お説教」と語っている。高田氏は10歳ほど年上だが私くらいの年齢になるとどうしても犯しやすいことばかり。自戒を込めてこの言葉をこころに刻んでいる。それに加えて相手の肩書き・学歴・年齢などは出来るだけ取り払ってひとりの人として誠実に接すること。これらを出来るだけ守るようにしている。

だが、三澤氏のようにその場の空気を掴んで和ませて素晴らしい写真を撮るような境地には至っていない気がする。まだまだ見習わなければならないことがたくさんある。

LEICA M-P / SUMMICRON-M 35mm f2.0 ASPH.

LEICA M-P / SUMMICRON-M 35mm f2.0 ASPH.