車窓越しの訓練

撮影の為の出張は多い方だと思うが特に新幹線での移動が多い。数年前から新幹線移動はグリーン車と決めている。最近では新型コロナウィルス対策で少しでも感染確率を下げる為にもグリーン車の方が安全だ。他にも機材の安全、自分自身の疲労軽減等、何より撮影データの安全は一番の優先事項だ。

そういう意味では仕事で出張に出る場合は寄り道もしない。特に帰りは絶対に事故があってはならない撮影済みのデータがある。無事に自宅のHDDに保存するまで仕事は終わらない。そんな出張ゆえ、様々な街を訪れるがその土地のことはとんと疎い。現場とホテルと駅と新幹線移動でほぼ終わってしまう。

残念に思う時もあるが束の間の息抜きは車窓からの光景。流れる車窓の光景を眺めているとゆるりとリセット状態になる。そこで徐にライカを取り出しスナップ。出張には必ずライカを持って出るが車窓からのスナップは難易度が高い。とあるカメラマンがSNSでこれを訓練と称していたがなるほど・・・

何も考えずにシャッターさえ押せば良いという訳ではない。高速で移動するのぞみの車窓の中の来たるべき瞬間に反応し、ここぞというシーンを予測するということは確かに日常の仕事の中でも役に立つ。物事は考えようで学ぶ場はどこにでもある。

LEICA Q-P

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ミラーレス時代のキヤノン一眼レフ

今週は週の初めから撮影が立て込み、週末は名古屋と岡山の出張が続いた。そんな撮影仕事が出張を織り交ぜながら量的にオーバーフロー気味になると機材への依存度が上がってくる。現在の仕事用のカメラはキヤノンのEOS5Dsがメインで、ソニーのα7R3が二台、動画専用にα7S2が一台という体制だ。これがここ数年続いている。仕事用カメラは趣味用とは違い、目的がはっきりしているからただ新しいとか画素数が多いとかという単純な理由だけでは変えられない。

仕事では趣味とは違う次元の要求が多々ある。特に現場ではスピードと確実性が一番大切になる。最近はミラーレス機が主流になり、一眼レフの時代はもう終わった感が強い。しかし、実際に現場で使用している印象は異なる。確かに自分もいち早くソニーのミラーレスを導入し、使用目的によってはメイン機となる。だがしかし、現場でのフィーリングは違う。

キヤノンはニコンと共に一眼レフの歴史を築いてきた。ミラーレス全盛の今もその蓄積はそう簡単に崩れてはいない。咄嗟の場面での操作フィーリングはキヤノンに一日の長がある。EOS5Dsの使用方法は100%三脚にセットし、中判カメラ的な使用が前提になるが、このフィーリング、言葉では伝えにくいがシャッターフィーリングや指先に伝わる感覚、こちらが期待する結果の確実性など目には見えないがプロが要求するフィーリングへの応答性が確かに違う。

新しい機能が新しい表現を生むことはソニー機を使ってみれば分かる。ソニーの先進性や機能の豊富さは特筆すべきものだが、あまりにもコンパクトにしたがゆえの弊害でインターフェイス、特にボタンやメニュー操作が現場でこちらの要求するスピードや確実性についてこれない場面がある。また、あってはならないことだが稀に挿し込み方によってSDカードを認識しないことやバッテリーマネージメントなど電気系統の危うさなどは依然として存在する。

翻って、キヤノンにはそういったことは一切ない。機械的・電気的なトラブルはほぼ皆無だ。ゆえに信頼性という面でもまだまだキヤノンの一眼レフは仕事から外せない。残念なことは今後、EOS5Dsの実質的な後継機が期待できないということ。理想を言えばEOS5Dsのフィーリングと画素数を継承しつつ、高感度画質と処理スピードがさらにブラッシュアップしたモデルがあれば言うことは無い。

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60の手習い

ここのところ、新たなチャレンジをしている。といっても全く新しい挑戦ではなく動画を一から勉強し直している。きっかけは友人の息子君だ。彼のことはなすしおばら映画祭のことで書いた。彼とは中学生の頃からの付き合いだがたまたま彼の大学受験の前年、彼の父親つまり友人から機材の相談があった。映像の道を目指している彼に今何が一番適しているか?私は即答でSONYのα7SⅡを勧めた。

今から4年程前のことなので当時はまだCanonのEOSムービーもシェアを保っていた。ただ、プロの映像クリエイターたちはSONYに将来性と可能性を感じ、当時、誰もが驚愕した動画性能と高感度性能のα7SⅡへと軒並み機材を変えていた。自分もいち早く購入していた。ただ一般の人たちからみていくら高性能でもボディだけで40万近い価格のα7SⅡは安易に手を出せる機材ではなかった。

プロでもユーザーが少なく高価と感じる機材をまだアマチュアで未成年の彼に勧めるのは正直迷ったが彼の才能と将来を考えるとぜひチャレンジして欲しかった。当時の彼はすでにα7SⅡを使うに相応しい才能の持ち主だった。そこで頑張ったのは父親であるその友人、元々はデザイナーの父親、息子君にも理解があって彼の為にボディとレンズその他を揃えると相当な費用になる機材を則購入してあげた。

その後、彼はα7SⅡを寝るときも枕元に置いて大切にし、優れた映像作品を次々と撮り続けた。大学受験時には彼の作品のクオリティとプロでもまだユーザーが少ないα7SⅡを使いこなしていることで並み居る面接官たちを驚かせたと聞いた。相応しい道具が彼の人生を大きく変え、過日のなすしおばら映画祭へと繋がった。勧めた自分もこれほど嬉しいことはない。

実は彼の作品は公開される前にいつも見せてもらっている。そして意見を求められている。中学生の頃は突っ込みどころ満載だったが今は唸るばかりで彼の才能の豊かさに自分は逆に落ち込み、動画の仕事を受けることを躊躇するほどだった。ただ、ありがたいことにそんな自分もスチールのついでとは言え、動画の仕事が絶えない。

そこで一念発起、初心に帰り、彼をお手本にしながら一から動画を勉強し直そうと日夜ユーチューブに噛り付いている。今は本当に便利な時代になった。ユーチューブには機材やソフトのノウハウが溢れている。若い才能たちの作品も目を見張るものばかり、学ぶべきことが山ほどある。還暦を過ぎた60の手習いだが空間の世界で培った経験を活かせるよう技術をさらに磨きたいと日々励んでいる。

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縁を紡ぐカメラ

このサイトは仕事メインのサイトデザインになっている。オファーを頂いて撮影した空間作品をショーケース的に見て頂き、ブログでは日々の日記的な内容で自分自身の素の姿を良くも悪くも知って頂くようにしている。そんなことで仕事の依頼を目的にしたガチガチのPRサイトにはなっていない。それゆえに仕事に直結することはそう多くはなかった。

それが今年になって仕事の問い合わせが増えてきた。ほとんどが個人のデザイン事務所の方々からだが、先日、この業界では大手で老舗の会社のデザインセクションの方からのお問い合わせを頂いた。業界では著名な会社なので以前から存じ上げていたがこれほど大手の会社からの問い合わせは驚きと共にフリーランスにとってこのようなオファーは大変ありがたく、喜んでお受けしたいと思った。

先日、その会社にお伺いして担当の方々とお会いしたところ、声をかけて頂いたきっかけのお話と共通の知人が居たことなどのご縁を知って世の中は広いようで狭く、やはりどこかで繋がっているのだと改めて感じた。そのご担当の方はLEICA Qを所有され、その他にもバルナックのⅢgも所有されているライカユーザーでLEICA Qをきっかけにこのブログにご訪問頂き、今回のご縁となった。

今までもライカは様々な出会いを生んできてくれたが、今回も新たな出会いを生んでくれた。目には見えないご縁を紡いでくれるカメラ、そんなカメラはライカしかない。

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