ブルーな一日

昨日は2週間ぶりに都内・青山での撮影仕事。その前日、航空自衛隊のブルーインパルスが新型コロナ禍の中、奮闘している医療従事者たちへの感謝と敬意の通過飛行が行われることが発表になった。昼頃に青山なのでこれはブルーの飛行に出会えるかも?と期待に胸膨らんだが・・・。

結果はブルーが飛んでいた時間帯はちょうど室内での撮影をしていたので残念ながら直接観ることは叶わなかった。都内の複数のコロナ専門病院を中心にスカイツリー・東京タワー・都庁を経由して2周飛んだそうだ。ブルーとの出会い運は自分は以前から強いものを持っていた方なので本当に残念だった。

今回は多くの方々がブルーの飛行を見上げたようだが、中でも東京タワーとブルーとの見事なツーショットがツイッターに上がっていた。これには悔しさ1000%だった。昨日のような雲ひとつない快晴の中、東京タワー上空をブルーインパルスが飛ぶことなど今後自分が生きている間では絶対にない!生まれ故郷と言える東京タワーとブルーとのツーショットはそれほど素晴らしかった。羨ましい!

ブルーが過ぎ去った後、夜の撮影の待機で青山近辺を散策した。久しぶりに青山辺りを歩いたがだいぶ様変わりしていた上にコロナの影響でほとんどお店がテイクアウトで店のスタッフが歩道に出ている光景に川越の田舎住まいの身としてはコロナの影響を直に実感した。

さらに驚いたのは羽田の飛行経路が変わって大きなエンジン音を響かせて旅客機が青山学院の上空をひっきりなしに着陸態勢に入っている光景を見上げて、以前の落ち着いた青山とは違った趣にちょっとびっくりした次第。ほとんどお上りさん状態の自分自身にも我ながら驚いた。

LEICA M10-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.

LEICA M10-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.

秘伝拝見

今月号のCOMMERCIAL PHOTOは「ナカサアンドパートナーズに聞く建築撮影秘伝ワザ」という特集。ストレートに自分のお仕事分野なので早速拝見した。

実は自分はプロとして活動しているが全て独学でいわゆる師匠は持っていない。唯一学ばせてもらったのがナカサアンドパートナーズの撮影現場での立ち合いと納品時のクオリティからだ。今から約30年程前、ナカサアンドパートナーズが法人化した頃に以前勤めていた会社で撮影依頼をする機会があり、撮影立ち合いをすることが度々あった。今となってはそれが学びの場となっていた。

ナカサアンドパートナーズは建築・インテリア系撮影の世界では日本はもとより世界でもトップクラスのクオリティを持つグループだ。建築・インテリア系の撮影は専門とするフォトグラファーが少なく、現実は他分野のフォトグラファーが片手間で撮影をしているケースが多い。

一見、それで事足りている感はあるが専門のフォトグラファーから見れば素人レベルに毛の生えたクオリティということがすぐに分かるケースも多々ある。興味ある方は今回の特集号を見て頂きたい。撮影からレタッチまでかなり手の込んだ準備と様々なテクニックがあることが分かる。

特集を拝見した後、ほぼ同様の撮影とレタッチをしていることで今の自分のポジションを確認できた。ただし、何点かは考えが違う手法があった。具体例は控えるがこれは元空間系デザイナーとしての視点なので写真家集団のナカサアンドパートナーズとは考えが違うのも仕方がない。様々なアプローチがあると思う。

ただ、一点だけ譲れない点、撮影者とレタッチャーの手が違うこと。この点はデジタル時代のフォトグラファーとしては意見が180度違う。特集の中でも書かれていたがレタッチャーは実際の空間を見ていない。いかにベテランレタッチャーでも想像の域を超えることは出来ない。実際の現場の環境はそれぞれ違うものだ。同じものは無い。

レタッチャーの負担を軽くする為に現場で相当追い込んでいる手法を取っているようだがそれゆえ時間と手間が膨大にかかっている。多くのスタッフが関わる現場を短時間で終わらせることも大きなメリットだ。出来るだけ短時間で撮影を終え、撮影後には撮影者自らが手間と時間をかけてレタッチで追い込む。その繰り返しで現場での撮影手法も変わっていく。実際に現場を見ている撮影者がレタッチ・納品まで一貫してオペレートすることのメリットはやったものにしか分からない。

大切なことは撮影者がデザイナーと空間のイメージを共有すること、そしてそのイメージを持ってレタッチを行うこと。その為のレタッチスキルは持ち合わせていなければならないのも現代のフォトグラファーの必要条件。分業によって効率を上げなければならない法人ではなかなか厳しいことだとは思う。自分も企業デザイナーだった頃もあるので理解は出来る。

いずれにしてもナカサアンドパートナーズは我々空間系フォトグラファーの頂点に立っていてほしい存在だ。ゆえにトップグループとしてあらゆる面で目標となるクオリティを見せ続けてほしい。今の自分のクオリティのモノサシはあの30年前に見聞きしたものがベースになっている。意見は異なる部分もあるがかつて学ばせて頂いた恩は忘れていない。

LEICA M10-P / SUMMILUX-M 50mm f1.4 ASPH.

LEICA M10-P / SUMMILUX-M 50mm f1.4 ASPH.

常にテレワーク

2月から続く新型コロナの影響の中、自分の場合は以前から自宅作業が中心で撮影以外で出かけること自体も少ないので言わば常にテレワーク状態。世のお勤め人たちのテレワークはこれからの働き方を変えることになるかもしれないと興味深く見ている。

3月はありがたいことに撮影の仕事は減らず、出張などは逆に増えたほどでガラガラの新幹線を何度も利用させて頂いた。さすがに4月や5月は自宅に居る時間はこれまで以上に増えそうだが自宅で過ごすことに自分も相方殿も慣れていて普通の生活リズムで過ごせることはありがたい。

オリンピックも延期が決まり、今後は自分の仕事への影響も徐々に出てくることも予想されるが仕事が約束されていない不安定さは常に付きまとってきたピンのフリーなので出来るだけ焦らず慌てず自然体で心落ち着かせるようにしている。

そんな中、3月最後の日曜日は雪になった。この時期の降雪は珍しいことではないがコロナ危機の中の雪景色は心持ちのせいか趣が違って見える。降っていた時間は短かったがこの冬一番の雪の量だったかもしれない。

ところでビゾフレックスは相変わらずの格好悪さだが唯一タンバールにだけは似合っている気がする。もともとピント合わせ自体手強いレンズだがこれがあればかなり助かるのは事実だ。

LEICA M10-P / Thambar 90mm f2.2 / Visoflex Typ 020

LEICA M10-P / Thambar 90mm f2.2 / Visoflex Typ 020

心象光景

新型コロナウィルスの影響で各企業も出社や出張が控えられている。そんな中、一昨日と昨日は2週間前、天候不順で撮影できなかったカットの再撮影で再び岡山へ。予想はしていたが東京駅ものぞみもガラガラ状態。まるで3.11のデジャブ。

あの時もちょうど震災直後に大阪出張があってのぞみからの車窓は気持ちが沈みがちで快晴でもなぜか物悲しかったことを記憶している。心象風景とはよく言ったもので見るもの全てその時の自分の心境を反映しているものだ。東京駅ものぞみから見える車窓の光景もあの時と同じだ。

以前にも書いたが自分の出張は現場、ホテル、駅、新幹線でほぼ終わる。だが目にするものは同じでも2週間前とは違い、今の心境のフィルターがかかって見えてきてしまう。人や物の動きが少ないこともあって何を見ても寂しげに感じる。

ライカは心象風景を捉えることに長けている。手にしたレンズの焦点距離でモノを見ようという意識が自然に働き、ファインダーでは実際の光景を目にするからだ。帰宅後に見たモノは今この時期の記憶として残しておきたい心象光景だった。

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LEICA M10-P / SUMMILUX-M 50mm f1.4 ASPH.

LEICA M10-P / SUMMILUX-M 50mm f1.4 ASPH.