以前から感じていたことだが優れたグラフィックデザイナーによる写真には一種独特のセンスがある。二次元の世界で構図や色彩を表現することに長けているグラフィックデザイナーにとって結果として二次元の世界に納める「写真」は慣れ親しんだ世界に近いのだろう。もともとフォトグラフの語源はギリシャ語で「光で描く」ということ。さもありなんだ。
2006年、拙ブログでLEICA D-LUX2というコンパクトカメラがご縁で知り合ったグラフィックデザイナーの高橋俊充氏。北陸・金沢ではすでに名が知れていてもともとカメラ好きということで素晴らしい写真を撮られていた。ブログのコメントで親交を持ち、その後、金沢と東京で直接お会いする機会が何度かあって東京に来る機会があると時間が合えばお会いする友人だ。
お会いした当初からグラフィックデザイナーのセンス、生まれ育った北陸の色彩、もともとイタリア好きの洒落っ気で素敵な写真を撮られていた。金沢での最初の写真展をきっかけに東京で写真展を開き、さらにそれがきっかけでフジのXフォトグラファーとなって今やXシリーズのファンや写真好きのグラフィックデザイナーの世界では知らない人が居ないほど有名になった。
その氏の写真展「SNAPS ITALIA TOSHIMITSU TAKAHASHI 2010-2017」が今日20日から24日まで開催される。イタリアのスナップも相変わらずのクオリティが想像されるが今回注目しているのがこの写真展の為の撮りおろしのクリエイターたちのポートレイト作品だ。撮影の苦労話もお聞きしているのでどのような世界が広がっているのか興味津々だ。開催期間が短いのが残念だが一見の価値があると確信している。
それから同時に発売される写真集。氏の写真集の大ファンを自認している自分としては本音を言うとこれが一番楽しみ。もともとグラフィックデザイナーが撮った写真を撮った本人が自らディレクションして創られる写真集は掟破りのクオリティになるのは当然で、一般の写真家にはなかなか真似出来ることではない。今回の写真集は氏の写真集の大ファンになった「Sicilia snaps 2013」のクオリティを超えると聞いているので完売間違いなしだろう。手にするのが楽しみだ。