遺影写真

母親が亡くなり、家族だけのごくごく内輪の葬儀が終わった後、撮影仕事が続き、今まで10年以上風邪も引かなかった私が仕事が落ち着いた直後から大風邪を引いて体調を崩してしまった。やはり親の死とは心身ともに影響は大きいものだ。まだ、体調の方は全快とはいかないが徐々に快方へ向かっている。

普段からライカを持ち歩き、母親の施設に行くときも必ずライカで母親を撮っていた。数年分の母親の写真がある。その中から母親らしい一枚を選び、葬儀の遺影写真として使った。同じものをLサイズに出力し、木製の写真立てに納めて妹と姪っ子たちにプレゼントした。

亡くなる2年前に撮ったいつもの穏やかな母親で、頬杖をついてリラックスした自然体の表情。今にも話しかけてくるようで自分でもお気に入りのカットだ。プレゼントした妹や姪っ子たちにも思いの他喜んでもらい、妹などは毎朝写真の母親に話しかけて返事が返ってくるようで本当にありがたいと言ってくれた。

自宅でも葬儀で使用した四つ切サイズの写真をリビングのテーブルの上に置いてある。今でもそこに居るような感覚でやはり相方ともどもついつい話しかけてしまう。その人の人柄を写した最高のポートレイト写真を遺影として残しておくことは大切な事だ。亡くなった後でも生きているようで悲しさよりも感謝の気持ちが湧き上がってくる。

常にライカを持ち歩いて自然体の母親を残しておいて良かったと思う。

LEICA M9-P / SUMMILUX-M 35mm f1.4 (遺影)

LEICA M9-P / SUMMILUX-M 35mm f1.4 (遺影)