想像させる写真が好きだ。写実的な写真よりも一枚の写真から様々なことを想像させる写真。ワイドレンズを評してより広く撮れる、引きが無い場合に使うレンズ。写真教室や単純なレンズ解説で良く目にするが、ワイドレンズこそ被写体との距離感によって関係性を浮かび上がらせ、観る人によって様々なことを想起させることができる奥の深いレンズだと思う。
中でも21mmは昔からワイドレンズの象徴のようなレンズで古今東西、銘玉が多い。代表的な21mmにツァイスのビオゴンがあるが、このスーパーエルマーもかつての銘玉スーパーアンギュロンの後継と言われている。レンズには過去の多くの作品や写真家によって積み上げられたフィロソフィーが内在すると思う。被写体に向かう時、そんなフィロソフィーに思いを馳せながらシャッターを押す。そういう瞬間に触れられるこのレンズが好きだ。