PORTRAIT OF CREATORS

一昨日、ウェブコンテンツにWORKS 2を追加した。今まで10年以上に渡って撮らせて貰った空間系クリエイターたちのポートレイト。ほとんどが自分がかつて在籍した会社の後輩たちでデザイナーとしてあるいはディレクターとして彼らや彼女らの成長過程をファインダー越しに見てきた。

それらを一同に並べてみると感慨深いものがある。人を撮ることは鏡の中の自分を撮るようで奥が深い。ファインダー越しに相手の表情やしぐさを観察し続ける為、撮影後はグッタリ状態。ただ、風景写真や仕事の空間系写真とは違う充実感や満足感がある。

もともとコンテンツに加えることは考えていなかったが相方殿からせっかく自然で良い表情の写真が多いのだから公開してみたら?と。以前にも友人から若い人たちのポートレイト、とてもいいですよ。と好評を頂いたことが何度かあった。彼らのおかげで今の自分がある。感謝の気持ちを込めて公開することにした。

自分のポートレイトはその場の空気感の中で撮ったものばかりで凝ったライティングや演出など皆無、もともとそんな技術は持ち合わせていないし、常に忙しいクリエイターたちなのであくまでオンサイトでのアベイラブルライトが基本条件。彼らの素の表情が好きなのでこのスタイルが気に入っている。理想はライカだけでゆっくりと撮れれば嬉しいのだが、今や自分の老眼が耐えるかどうかが一番の問題だ。

EPSON R-D1 / NOCTILUX-M 50mm f1.0   2006年4月撮影

EPSON R-D1 / NOCTILUX-M 50mm f1.0   2006年4月撮影

シアワセなこと

昨夜、ある若いデザイナーから1通のメールを頂いた。日本空間デザイン協会が毎年主催している空間デザイン賞の入選の知らせだった。空間デザイン賞とはその年、1年間に創られた様々な空間、エキジビション、プロモーション、文化、街づくり、商業、サービス、ショーウィンドウ&ビジュアルデザイン、エンターテインメント&クリエイティブ・アートなどなど、日本国内のあらゆる人が集う空間の中で特に優れたデザイン性に与えられる賞だ。

今年の応募作品総数755作品、最終審査に残った50作品の中から大賞 1作品、金賞 10作品、銀賞 15作品、BEST50 24作品、その他の賞で8作品が選ばれ、それ以外で毎年暮に発行される「年鑑日本の空間デザイン」に入賞作品とともに掲載される入選作品 約200作品が選ばれた。毎年、この時期に発表されて空間系のクリエイターたちのひとつの目標となっている。私もかつてデザイナーだった頃はこの時期には一喜一憂していた。

昨夜、頂いたメールには初めて自分の名前で応募して初めて入選し、そして年鑑に掲載されることへの喜びのメールだった。惜しくも入賞ではなく入選止まりだったが、自分が撮らせて頂いた空間の写真で若いデザイナーたちの苦労が実り、結果が出たことへの喜びの声がこの世界で写真に生業を変えて生きてきた自分への一番のご褒美だ。なにより自分個人に対しての賞ではなく、若いクリエイターたちの喜びに微力ながらお役に立つことが出来て、何らかのカタチで自分の写真が世の中に記憶されていくこと。これが一番のシアワセだ。

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9

アドレナリン効果

昨日は前日の名古屋出張に続いて早朝から午前中いっぱい撮影で一旦自宅へ戻り、夜9時から深夜まで再び撮影だった。さすがに出張からの二日続きの目一杯の撮影は疲れたが我ながらこの歳でなかなかやるわい。と。今更だがどうもこの仕事が天職な気がする。少々体調が悪くても現場に出て美しいシーンを探り、三脚を構え、ファインダーを覗いて構図を整え、液晶でピントを確認、シャッターを静かに押す。この一連のアクションが全てを忘れさせてくれる。

おそらくアドレナリンが最高に噴出し、たぶん体には良い影響を与えてくれている。と信じている。現実問題、仕事が空いてしばらくこのアクションから離れていると心身ともに絶不調になる。フリーランスの方々はこういう傾向の方が多いと思う。「好きなことは仕事にするな」とよく言われるが、たしかにその理屈も分かる。ただ、本当に好きなことを仕事にすることは素晴らしいことだと思うし、何より会社員時代に常にあったストレスは皆無だ。

還暦を過ぎて今のところ健康で好きなことでアドレナリンを大噴出して自分を必要として頂く仕事があるということは本当にありがたい。周りに居る同年代の現役をリタイアした知人たちを見ていると自分は最高にシアワセ者だ。だからこれからも新しい機材や撮影方法にじゃんじゃんチャレンジしていくのだ!そこかい?

LEICA M-P / ELMARIT-M 28mm f2.8 1st

LEICA M-P / ELMARIT-M 28mm f2.8 1st

のぞみのグリーン車

国内の出張は北海道や九州、四国などを除けば、車でない場合はほとんど新幹線のぞみを利用している。カメラマンの出張は荷物がかなり多い。日帰りの場合は100%機材関連。宿泊の場合でもほぼ90%が機材、着替えやその他の宿泊用の荷物は10%といったところで、スタイルは大型のキャリーバッグと三脚ケースのセットになる。

一昨年くらいまではのぞみの普通指定席を利用していたが昨年からグリーン車を利用するようになった。理由は機材の安心・安全と自分自身の精神的・肉体的な負担の為、きっかけは一昨年の名古屋出張。のぞみの場合、東京から名古屋までは1時間40分ほどで時間的には全く負担はない。特に行きは普通指定席でも激混み状態で無い限り、負担ということは無い。しかし帰りが大問題。

出張の場合、帰りは夜になるケースがほとんど。帰りののぞみが新大阪や京都を経て名古屋に到着する頃にはほぼ満席状態で空いていても3席の真ん中のみということになる。この状態で大型のキャリーバッグと三脚ケースを持って乗り込むと全くと言って良いほど荷物の置き場所が無い。撮影でヘトヘトになった上に置き場所のない機材を足元辺りに置いて両脇の客に気を使いながらの東京までの1時間40分は悲惨な状態になる。トイレも躊躇する。なぜならこれが一番の理由だが機材の心配だ。

行きはまだ何かあっても自分だけの被害で済む。だが帰りはそうはいかない。撮影後の大切なデータが入った機材にもし何かあった場合は撮り直しという次元ではなく、そこには公開前の事前情報や絶対に世に出てはいけない機密情報など含まれる。もしそれらに何かあった場合、もうアウト。この仕事を続けられなくなる。そういった諸々の事情でグリーン車を利用するようになった。利用されたことのある方は分かると思うがグリーン車の快適さと安心・安全さは普通車とは雲泥の差である。

ゆったりとした幅広い座席、多めにリクライニング可能なリラックスできる足元。左右2席づつなので棚を含む荷物置き場は余裕のキャパシティー。アテンダントによるおしぼりサービス。食べ終わった後などのゴミの回収。何より客層が良い。おまけに芸能人や有名人との遭遇率も高い。とにかく機材が安心で肉体的・精神的にリラックスできる。これに尽きる。自分にとっても顧客にとっても総合的に考えてグリーン車の追加料金は全く高くない。むしろお安いくらいだ。

LEICA Q

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