SCOOPのコンタックス

WOWOWの映画放送はありがたいことに公開されてほぼ1年以内には放送される。先週末は少し前に録画しておいた日本映画3本立てで楽しんだ。「シン・ゴジラ」は昨年映画館で観たものをもう一度。「SCOOP」と「グッドモーニングショー」は映画館では見逃したもの。「シン・ゴジラ」のことはもう出尽くした感があるのでパス。後の二本はなかなか面白かった。

映画は好きだが語るほど精通しているわけではないので映画評論でよくある分析したり重箱の隅をつつくようなコメントはしない。まして貶す為にわざわざ書くほど無意味なことはないのでそれも無し。良かった点を書きたい。「グッドモーニングショー」は今時のワイドショーの作り手側から描いた作品。番組作りのプロセスやそれぞれの思い、人間模様などを軸に中井貴一が安定の好演でなかなか面白かった。少々荒唐無稽な部分もあったが小型カメラとマイクが大活躍。思わず笑ってしまった。

カメラ好きとしては「SCOOP」は公開の時から気になっていたが見逃してしまっていた。細かいことはさておき、普段でもEOS使いの福山雅治がさすがの使い手ぶりを披露していた。二階堂ふみもキュートに好演。ピリッと利いていたのがリリー・フランキー。あの役は彼しかない。周りも吉田羊、滝藤賢一などで固め脇役陣も良かった。

そして何より福山が役の中で憧れて持っていたコンタックスⅡ型。あのロバート・キャパが使用していたカメラ。そして若干ネタバレになるがキャパとコンタックス繋がりで映画のラスト近くは「崩れ落ちる兵士」へのオマージュ。その辺を分かっているカメラ好きには楽しめる映画だった。

LEICA Q

LEICA Q

4本目のヘクトール

今まで3本のヘクトールを使ってきたが、今手元にあるヘクトールはブラック&ニッケルの初期玉。貴重なシリアルナンバーのレア玉だったが銀座の匠にオーバーホールをお願いしたところ、ハズレ玉という結果が出たレンズだ。ライカのオールドレンズにはよくあることだが残念だ。それからしばらくしてフォト・ムトリで同じブラック&ニッケルのヘクトール73mmに出会った。

試写したところ、ピントも全域できちんと出ていて純正フード・キャップも揃っている玉だった。ということで通算4本目のヘクトール73mmが手元へ来た。3本目の同じブラック&ニッケルはしばらく残して撮り比べることにした。で、ここ一ヶ月ほど両方を撮り比べたところ、4本目のヘクトールのシャープさは今までのどのヘクトールと比べても突出して素晴らしく、無限遠近くも中距離も最短付近もどれも素晴らしいシャープさでヘクトールとはこんなにシャープなレンズだったのか?と今更ながら驚いた。

さらにこのヘクトールは最短が1m!指標も1mがきちんと記されている。今まで噂は聞いていたが実際に最短1mのものを見るのは初めて。もちろん距離計とも連動していて使い勝手も写りも過去3本のヘクトールと比べても文句のない玉。ようやく求めるヘクトール73mmと出会えた。ライカオールドレンズとは奥が深い、4本とも写りが違うというなんとも悩ましく罪作りな世界だ。

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9

HANEDA AIRPORT

年に数回だが出張で羽田空港を使う。ほとんどが日帰り出張。この時のパターンがほぼ決まっている。早朝5時か6時頃に車で自宅を出る。一般道から首都高に乗り、5号線から環状2号線、湾岸線を経由して羽田空港P3パーキングへ。昔からなぜか全日空が好きでターミナルは必ず第二ターミナル。ゆえにパーキングも常にP3かP4。行き先や手荷物検査場の関係で最近はP3ばかり。慣れたルートなので搭乗口までほとんどルーティンな感覚。

もともと飛行機好きだったので羽田空港に行くのはたとえ仕事でも高揚感がある。これから目的地に向かう乗客で賑わいのある空港も好きだ。仕事を終えて心地よい疲労感とともに最終便で羽田へ無事ランディングして到着口を出る。エレベーターでP3まで帰るルート。行きはあれほど賑わっていた出発ロビーが24時近くになると人も居なくなり気配すら感じない。そんな空港が仕事を終えた自分とシンクロして思わず「お疲れ様」と声をかける。そういう空港の姿も好きだ。

LEICA M-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.

LEICA M-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.

レンズフィロソフィー

想像させる写真が好きだ。写実的な写真よりも一枚の写真から様々なことを想像させる写真。ワイドレンズを評してより広く撮れる、引きが無い場合に使うレンズ。写真教室や単純なレンズ解説で良く目にするが、ワイドレンズこそ被写体との距離感によって関係性を浮かび上がらせ、観る人によって様々なことを想起させることができる奥の深いレンズだと思う。

中でも21mmは昔からワイドレンズの象徴のようなレンズで古今東西、銘玉が多い。代表的な21mmにツァイスのビオゴンがあるが、このスーパーエルマーもかつての銘玉スーパーアンギュロンの後継と言われている。レンズには過去の多くの作品や写真家によって積み上げられたフィロソフィーが内在すると思う。被写体に向かう時、そんなフィロソフィーに思いを馳せながらシャッターを押す。そういう瞬間に触れられるこのレンズが好きだ。

LEICA M-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.

LEICA M-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.