建築写真の肝要

デジカメウォッチのインタビュー記事でPCニッコール19mmの詳細な解説をしていた。その記事の中で奇しくも建築写真撮影における肝要を解説していて思わず膝を打った。普段から感じていたことを詳しくかつ正しく解説していたからだ。今回の記事はいつもの記事に比べて充実した内容でレンズ解説とその使用環境などここまで詳しく解説した記事は今まであまり無かったのでは?一見の価値がある記事だ。

もし興味のある方はこの記事を参考にして頂きたいが、この中で今まで様々な意見が出ていた「シフトレンズで現場にて最終構図を決めて撮るか?」「ワイドレンズで後でフォトショップなどで補正するか?」というプロセス。自分は以前から建築・インテリア分野では現場にてノートリミングで最終構図を決めることは当たり前と考えてきた。ほとんどの空間系専門のカメラマンにとっても同様だと思うが、他分野のカメラマンがたまたま空間を撮る場合、後でソフトで補正しても変わらないという声をよく耳にしていた。キヤノンからEF11-24mmが出たときにこのレンズこそそういう使い方が合っているとまで言うプロも居た。

今回の記事はそれをレンズの特性から見事に解説している。それ以外でも空間系撮影には安直に考えられている分部がある。それはまた別の機会に書きたい。私は現在はキヤノンユーザーだが今回のニコンの開発陣の見識を高く評価したい。建築・インテリアの撮影分野ではキヤノンのTS-E 17mmと24mmはマストだが、20mm前後のTS-Eレンズをぜひ発売してもらいたい。17mmと20mmではたった3mmだが構図は全く違ってくる。現在の17mm、24mmの間に20mmがあれば理想的な撮影が可能になる。今のキヤノンの技術ならばさほど難しいことではないと思うのだが?いかがなものか?

LEICA M-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.

LEICA M-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.

PORTRAIT OF CREATORS

一昨日、ウェブコンテンツにWORKS 2を追加した。今まで10年以上に渡って撮らせて貰った空間系クリエイターたちのポートレイト。ほとんどが自分がかつて在籍した会社の後輩たちでデザイナーとしてあるいはディレクターとして彼らや彼女らの成長過程をファインダー越しに見てきた。

それらを一同に並べてみると感慨深いものがある。人を撮ることは鏡の中の自分を撮るようで奥が深い。ファインダー越しに相手の表情やしぐさを観察し続ける為、撮影後はグッタリ状態。ただ、風景写真や仕事の空間系写真とは違う充実感や満足感がある。

もともとコンテンツに加えることは考えていなかったが相方殿からせっかく自然で良い表情の写真が多いのだから公開してみたら?と。以前にも友人から若い人たちのポートレイト、とてもいいですよ。と好評を頂いたことが何度かあった。彼らのおかげで今の自分がある。感謝の気持ちを込めて公開することにした。

自分のポートレイトはその場の空気感の中で撮ったものばかりで凝ったライティングや演出など皆無、もともとそんな技術は持ち合わせていないし、常に忙しいクリエイターたちなのであくまでオンサイトでのアベイラブルライトが基本条件。彼らの素の表情が好きなのでこのスタイルが気に入っている。理想はライカだけでゆっくりと撮れれば嬉しいのだが、今や自分の老眼が耐えるかどうかが一番の問題だ。

EPSON R-D1 / NOCTILUX-M 50mm f1.0   2006年4月撮影

EPSON R-D1 / NOCTILUX-M 50mm f1.0   2006年4月撮影

シアワセなこと

昨夜、ある若いデザイナーから1通のメールを頂いた。日本空間デザイン協会が毎年主催している空間デザイン賞の入選の知らせだった。空間デザイン賞とはその年、1年間に創られた様々な空間、エキジビション、プロモーション、文化、街づくり、商業、サービス、ショーウィンドウ&ビジュアルデザイン、エンターテインメント&クリエイティブ・アートなどなど、日本国内のあらゆる人が集う空間の中で特に優れたデザイン性に与えられる賞だ。

今年の応募作品総数755作品、最終審査に残った50作品の中から大賞 1作品、金賞 10作品、銀賞 15作品、BEST50 24作品、その他の賞で8作品が選ばれ、それ以外で毎年暮に発行される「年鑑日本の空間デザイン」に入賞作品とともに掲載される入選作品 約200作品が選ばれた。毎年、この時期に発表されて空間系のクリエイターたちのひとつの目標となっている。私もかつてデザイナーだった頃はこの時期には一喜一憂していた。

昨夜、頂いたメールには初めて自分の名前で応募して初めて入選し、そして年鑑に掲載されることへの喜びのメールだった。惜しくも入賞ではなく入選止まりだったが、自分が撮らせて頂いた空間の写真で若いデザイナーたちの苦労が実り、結果が出たことへの喜びの声がこの世界で写真に生業を変えて生きてきた自分への一番のご褒美だ。なにより自分個人に対しての賞ではなく、若いクリエイターたちの喜びに微力ながらお役に立つことが出来て、何らかのカタチで自分の写真が世の中に記憶されていくこと。これが一番のシアワセだ。

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9

LEICA M9-P / Hektor 73mm f1.9

アドレナリン効果

昨日は前日の名古屋出張に続いて早朝から午前中いっぱい撮影で一旦自宅へ戻り、夜9時から深夜まで再び撮影だった。さすがに出張からの二日続きの目一杯の撮影は疲れたが我ながらこの歳でなかなかやるわい。と。今更だがどうもこの仕事が天職な気がする。少々体調が悪くても現場に出て美しいシーンを探り、三脚を構え、ファインダーを覗いて構図を整え、液晶でピントを確認、シャッターを静かに押す。この一連のアクションが全てを忘れさせてくれる。

おそらくアドレナリンが最高に噴出し、たぶん体には良い影響を与えてくれている。と信じている。現実問題、仕事が空いてしばらくこのアクションから離れていると心身ともに絶不調になる。フリーランスの方々はこういう傾向の方が多いと思う。「好きなことは仕事にするな」とよく言われるが、たしかにその理屈も分かる。ただ、本当に好きなことを仕事にすることは素晴らしいことだと思うし、何より会社員時代に常にあったストレスは皆無だ。

還暦を過ぎて今のところ健康で好きなことでアドレナリンを大噴出して自分を必要として頂く仕事があるということは本当にありがたい。周りに居る同年代の現役をリタイアした知人たちを見ていると自分は最高にシアワセ者だ。だからこれからも新しい機材や撮影方法にじゃんじゃんチャレンジしていくのだ!そこかい?

LEICA M-P / ELMARIT-M 28mm f2.8 1st

LEICA M-P / ELMARIT-M 28mm f2.8 1st