MONOCHROME

Camerahollics Vol.3「鮮やかな、モノクローム」が発売日には届いていたが昨日サラッと目を通した。全編ほぼM10-M(モノクローム)特集!この特集でどれだけの方が購入してしまうのか?自分もその罠にハマらない自信はない。M10-Mは発売日当日に友人から実物を見せてもらい、そのあまりにも地味で素っ気ない外観に食指が動かなかった。自分はやはり軍幹部の筆記体leicaロゴが無いと満足しない派という一点だけでかろうじて留まっている。

モノクロームは歳を経れば経るほど奥深さを感じる。M10-Pの撮影設定は常にRAW+JPG撮影でモノクロームを現像する場合はCapture Oneで基本補正後にブラック&ホワイトの感色性6色をモノクロフィルタ感覚で補正、少し色味を加えたい場合はスプリットトーンでハイライトとシャドウの色相と彩度を補正してその時々のイメージに仕上げている。

この補正方法はカラー情報を持たないM10-Mでは物理的に使えない。M10-Mのユーザーが同様の補正をしたい場合はモノクロフィルムのカラーフィルタによるアナログ補正しかない。自分の場合はかなり細かく各色を補正するのでおそらくカラー情報を持つM10-Pの方が合っている気がする。ただし、M10-Mのモノクローム4000万画素の世界は覗いてみたい気がする。

モノクロームは色を持たない分、感じ方は人それぞれ。鮮やかな色を持った光景がモノクロームの持つ造形や光をストレートに伝える力によって違う価値が生み出されることは大きな魅力だ。車が買えるほど高価なモノクローム専用カメラを作ってしまうライカはある意味クレイジーだが、国産メーカーが短いサイクルで多機能過ぎるカメラをリリースし続けるのを見るにつけ、ライカは生き残る術を知っているように思う。

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

デジタルデータの儚さ

先日、灯台のウェブサイトを作成した折、すべてポジフィルムからのスキャンデータで作成したが、実はデジタルカメラの時代に変わった後にも3か所の灯台を訪れていた。20年近く前なのでどのカメラで撮影したか記憶が薄れていて定かではないがおそらくEOS-D60かEOS-10Dだったと思う。そのデジタルデータがいくら探しても見つからない。

デジタルカメラのオリジナルデータは当時から外付けHDDに保存・整理していたがその外付けHDD自体が見つからない。今まで仕事で使ってきたHDDは少なくとも30台近く。そのうち15台くらいは手元にあって直近10年間くらいのデータはすぐにアクセスできるがその前10年分くらいがどこにあるか全く分からない。市川市から現在の川越市に移った時にどこかへ紛失してしまったのか?それすら記憶にない。

仕事のデータは10年以上前のオリジナルデータが必要になるケースはほぼない。だが今回のようなプライベートのデータが無くなってしまったのには参った。訪れた3か所の灯台は北海道の石狩灯台、日和山灯台、そして和歌山県の潮岬灯台。今となってはどれも思い立ったらすぐに行ける場所ではなく残念でならない。撮影仕事の帰りに訪れた為にその時の仕事のデータと一緒に無くなってしまったようだ。

こういうことになるとデジタルデータは儚い。フィルムは20年以上前のものでもフィルム自体が物理的に残ってさえいればデジタルデータ化すれば蘇る。今回は自分に非があるのだが諦めきれずに探した結果、10年以上前に灯台のホームページを作成しようとした折、そのサイトデータ内にリサイズされたデータが一部残っていた。残念ながらあまりにも小さいサイズなのでウェブページでの公開には絶えないがこのブログ程度ならばと備忘録的にここでアップしておきたい。

灯台は撮影に行くこと自体がなかなか大変な被写体でしかも天候や時間帯によって良い表情が撮れるかどうかは運次第のところがある。ゆえに良いカットが撮れるとそれはそれは大切なカットになる。なぜそんな大切なカットを紛失してしまったのか??ということだが本人が一番ショックを受けて情けない気持ちなのだ。この中には納得のカットも数点あるのに何とも複雑で悲しい気持ちなる。

ブルーな一日

昨日は2週間ぶりに都内・青山での撮影仕事。その前日、航空自衛隊のブルーインパルスが新型コロナ禍の中、奮闘している医療従事者たちへの感謝と敬意の通過飛行が行われることが発表になった。昼頃に青山なのでこれはブルーの飛行に出会えるかも?と期待に胸膨らんだが・・・。

結果はブルーが飛んでいた時間帯はちょうど室内での撮影をしていたので残念ながら直接観ることは叶わなかった。都内の複数のコロナ専門病院を中心にスカイツリー・東京タワー・都庁を経由して2周飛んだそうだ。ブルーとの出会い運は自分は以前から強いものを持っていた方なので本当に残念だった。

今回は多くの方々がブルーの飛行を見上げたようだが、中でも東京タワーとブルーとの見事なツーショットがツイッターに上がっていた。これには悔しさ1000%だった。昨日のような雲ひとつない快晴の中、東京タワー上空をブルーインパルスが飛ぶことなど今後自分が生きている間では絶対にない!生まれ故郷と言える東京タワーとブルーとのツーショットはそれほど素晴らしかった。羨ましい!

ブルーが過ぎ去った後、夜の撮影の待機で青山近辺を散策した。久しぶりに青山辺りを歩いたがだいぶ様変わりしていた上にコロナの影響でほとんどお店がテイクアウトで店のスタッフが歩道に出ている光景に川越の田舎住まいの身としてはコロナの影響を直に実感した。

さらに驚いたのは羽田の飛行経路が変わって大きなエンジン音を響かせて旅客機が青山学院の上空をひっきりなしに着陸態勢に入っている光景を見上げて、以前の落ち着いた青山とは違った趣にちょっとびっくりした次第。ほとんどお上りさん状態の自分自身にも我ながら驚いた。

LEICA M10-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.

LEICA M10-P / SUPER-ELMAR-M 21mm f3.4 ASPH.

フィルムのポテンシャル

昨日、灯台アーカイブのウェブサイトを開設して様々なご意見を頂いた。その中で気になったのがフィルムのポテンシャル。ご意見の中に「粒状感があって映画っぽくて良い」というコメントがあった。自分は24インチのツインモニターで作業をしている。その環境で最終確認をしているが画質的にはほぼ問題は無かった。

ご覧になったお仲間は写真仲間なので27インチで見たという方が居て同じような環境でご覧になっている方も多いと思う。イラストレーターの相方殿もマックの27インチで見て画質的には全く問題無いようだった。印象としては画質よりもむしろフイルムっぽさに高評価を頂いた。

自分としてはスキャン後の画像にノイズがかなり見られて少々不安に思っていた。それに加えて老眼鏡を使用している眼の衰えは否めず、微細な部分のピントとノイズの見分けが実は自信がない時がある。そこで意外な評価を頂いて改めて見直すと確かに適度な粒状感は大画面でも悪くない印象だ。

デジタルのキレキレの画像に慣れた眼には適度な甘さとノイズは生理的に好ましいのかもしれない。それに加えてフィルムの高いポテンシャルだ。映画の世界でも大昔のフィルムのデジタルリマスター版の画質の素晴らしさと得も言われぬ柔らかさに驚く時がある。今回のスキャンはα7R3の最高画素数4200万画素で取り込んだ。

理論的な裏付けはないが高画素での取り込みに対してフィルムがまだまだイケるぜ!と言っているかのようで改めてフィルムのポテンシャルを見直した次第。昨今のデジタルカメラの超高画素化は人の自然な感覚とはどんどんかけ離れて行っているのかもしれない。そんなことを感じた。

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6

LEICA M10-P / SUMMARON-M 28mm f5.6